
ホルモン“リラキシン”が作用
腰痛
ベビーがスムーズに産まれてくるための準備?
妊娠初期には、まだお腹が大きくなっていなくても、腰痛を感じることがあります。
これは妊娠中に分泌されるホルモン、“リラキシン”によるもの。“リラキシン”は、骨盤の関節を作っている結合組織やじん帯をゆるめ、ベビーが骨盤の中を通りやすくなるようにするのです。妊娠のごく初期からも、この働きが始まります。骨盤がゆるんでは、その上に並ぶ背骨や首、頭を支える事ができませんし、歩くことも難しくなります。そこで骨盤まわりの筋肉は、ゆるんだ関節を支えようと緊張が強くなり、これが腰痛の原因になるのです。
腰だけでなく、おしりの奥の方や足の付け根、恥骨あたりが痛いという声もよく聞きます。骨盤はいくつかの骨が組み合わさって形作られています。関節とは骨と骨のつなぎ目ですから、痛くなるのはその部位、つまり解剖学的な言葉で表すと、仙腸関節、股関節、恥骨結合という場所です。
妊娠後期の腰痛は、また別の原因もあります。お腹が大きくなってくると、からだの重心が前に傾きます。お腹の重みを背側で支えることになるため、自然に身体を反らしてバランスを取ろうとします。この姿勢は、背骨の自然なカーブを反対方向に反らしてしまうため、腰の筋肉や結合組織、じん帯に負担がかかり、腰痛を起こすのです。
どうしたら改善するの?
■腹帯
骨盤がゆるんだことによって起きる腰痛には、骨盤のゆるみを改善させることが基本です。骨盤の周りを、さらしの腹帯で支えるように巻くと、骨盤が締まり安定します。助産師に正しい腹帯の付け方を聞いてみましょう。さらしを巻くのは難しいという人向けには、妊婦さん専用の腰痛防止ベルトが楽かもしれません。骨盤周りだけでなくお腹全体もしめつけてしまうガードルでは、あまり効果は期待できません。自分に合ったタイプを探してみましょう。
■温める
冷えは、腰痛を悪化させます。普段の生活の中でもお腹、腰は冷やさないこと。使い捨てカイロも可能ですが、低温やけどに注意が必要です。むやみに体に貼らないこと。お腹をしめつけないことが大切ですので、大きめのショーツを重ねばきしたり、やわらかい素材の腹巻きを使ってみては。入浴はシャワーで済まさず、できるだけ湯船につかり、からだを温めましょう。血行がよくなると腰痛もやわらぎます。
■運動
筋肉を動かすことで、よけいな筋肉の緊張がとれ、腰痛の改善が期待できます。妊婦さん向けの腰痛体操やエクササイズも試してみて良いでしょう。お腹に負担がかからないよう気をつけることと、痛いのを我慢して無理やり動かさないように。かえってからだを痛めることもあります。
もともと筋肉が鍛えられている人は、妊娠して骨盤がゆるんできても筋肉の力で十分支えることができるので、腰痛にはなりにくいものです。妊娠してからでも遅くはありません。少しずつ体作りをしていきましょう。体調の良いときにウォーキング、マタニティスイミング、マタニティヨガ、マタニティビクスなどの運動を始めてみては。気分転換にもなりますね。
※腰痛体操など身体を動かす時は無理しない範囲で。マタニティエクササイズを行うには、妊娠週数による制限や、医師の許可が必要な場合があります。事前に必ず主治医に相談しましょう。また、運動中に異変を感じたら、すぐに中断しましょう。
【取材・監修】
村上麻里先生 水口病院 副院長 産婦人科専門医
新潟大学医学部卒業、大学付属病院、関連病院勤務を経て現職。小3、小4、小6の3姉妹の母。「子宮頸がん予防の会」世話人。「母乳育児支援ネットワーク」理事。
「妊娠・出産は女性の生き方や考え方を大きく変化させる、すばらしい機会です。妊婦さんが主体として自然に産んで、自然に母乳で育てられるような支援をめざしています。昨秋からはじめた大人の初心者バレエ、ストレッチだけで体中が痛くなります。筋肉に対する意識が変わってきたかも。がんばって続けます。」
2009/01/30更新