この記事を監修したのは

諸隈誠一先生
医師、医学博士/九州大学大学院医学研究院 保健学部門 教授/日本赤ちゃん学会理事
1996年九州大学医学部医学科卒業。2006年4月より九州大学病院助教、2010年6月より同大学病院産科婦人科特任准教授、2011年1月より同大学環境発達医学研究センター特任准教授、2018年4月同大学大学院医学研究院保健学部門教授。
【目次】
妊娠を心待ちにしている方や、排卵日前後に心当たりがある方は、生理予定日付近になるとソワソワ落ち着かない気持ちになるかもしれません。一刻も早く妊娠しているか・そうでないかを知りたいのではないでしょうか。
妊娠検査薬は、生理予定日後いつから使える?
ドラッグストアやAmazonで購入できる「妊娠検査薬」は、生理予定日の1週間後から使用できるものがほとんどです。まずは、妊娠検査薬の仕組みと正しい使い方を知っておきましょう。
「妊娠検査薬」は、検査スティックに尿をかけて使用します。尿をかけて一定時間(1~3分程度)待つと「判定」「終了」の小窓にラインが浮かび上がります(※詳しくは各商品の説明書をご確認ください)。
「判定」の窓にラインが現れると【陽性】で、妊娠の可能性ありです。「終了」の窓は検査終了を確認するためのもので、ここに入るラインは妊娠の有無とは関係ありません。
【ドラッグストア・Amazonで買える
おもな妊娠検査薬】
妊娠検査薬の仕組み
市販の「妊娠検査薬」では、尿に含まれる「ヒト絨毛性ゴナドトロピン(Human chorionic gonadotropin:略称 hCG)」によって【陽性】か【陰性】かを判定しています。hCGは、妊娠していないときは分泌されず、妊娠すると妊娠4週ごろから尿に分泌され始めます。
「妊娠検査薬」でのフライング検査は
おすすめできません
”フライング検査”とは、正式な名称ではなく定義もない言葉ですが、一般的に「妊娠検査薬」が使えるようになる生理予定日の1週間目より前に検査することを”フライング検査”と呼ぶことが多いようです。
先に説明したように、hCGが尿に分泌されるのは妊娠4週ごろからです。フライング検査でも【陽性】が出ることもありますが、あまり早く検査しすぎてしまうと、hCGの濃度が足らず、妊娠しているのに【陰性】となって、妊娠していないのだと思い込んでしまう可能性があります。
フライング検査では正確性に欠けるので、早めの検査で【陰性】であっても生理予定日の1週間目以降にもう一度、検査をしてみるとよいでしょう。
※参考※アプリ「ルナルナ」の画面。この例では、生理予定日が3月18日なので、1週間後の3月25日以降ごろから「妊娠検査薬」が使用できるタイミング。
早めに検査をして【陽性】が出た場合は、薬の服用・タバコ・お酒などに気を付けて過ごします。
【陽性】が出た場合の産婦人科の受診目安は、生理周期が順調な人なら生理予定日の2週間後あたりがよいでしょう。ただし、出血・お腹の痛みがある場合はすぐに受診し、治療中の病気があるかたは、主治医の先生に早めに相談を。わからないときは、病院に電話で聞いてみてもよいでしょう。
1週間待てないかたには
「早期妊娠検査薬」も
生理予定日の1週間先まで待てない!というかたにはフライング検査ができる「早期妊娠検査薬」があります。こちらは、hCG濃度がまだ薄い時期でも検査ができるため、生理予定日当日から使用できます。
日本で市販されているのは、「チェックワンファスト(アラクス)」です。薬剤師さんのいる薬局やドラッグストアで購入できます。海外から取り寄せられる製品もありますが、届くまでの日数などを考えると、急な取り寄せにあまりメリットはないかもしれません。
【陽性】が出たら、必ず妊娠している?
市販の「妊娠検査薬」は精度が高く、「99%の正確さ」等の記載がされています。ただし、子宮外妊娠(異所性妊娠)の場合も【陽性】と出ることがあるので、【陽性】だからといって必ずしも妊娠確定ではありません。病院等で胎嚢(たいのう)と呼ばれる赤ちゃんが入っている袋が確認できてはじめて妊娠確定となります。
生理予定日の1週間後あたりから、病院での超音波エコーで胎嚢が確認でき、妊娠の診断が確定しやすいといわれています。受診があまり早いと、胎嚢が確認できずに「来週もう一度来院」ということもあり得ます。
うっすら出ているラインは陽性?
「妊娠検査薬」を正しく使っても、判定のラインがうっすらとしか出ないこともあります。薄めに出たときもhCGが出ている、つまり【陽性】と考えてよいでしょう。水分を多めにとっているときなどはラインが薄めになることもあります。
なお、不妊治療中のかたでhCG注射をうっているかたは、「妊娠検査薬」に反応してしまうので正しい結果が得られません。主治医の先生に相談をしてみましょう。