この記事を監修したのは

小西行郎先生
小児科医・「日本赤ちゃん学会」前理事長
同志社大学赤ちゃん学研究センター センター長・教授/兵庫県立リハビリテーション中央病院 子どもの睡眠と発達医療センター 神経小児科などを歴任。2001年「日本赤ちゃん学会」創設。主な著書に『赤ちゃんのしぐさBOOK』、『赤ちゃんと脳科学』など。

小西薫先生
小児科医・「すくすくクリニックこにし」院長
福井総合病院小児科、福井医科大学小児臨床教授、さいたま市総合医療センターひまわり学園所長などを経て2010年に「すくすくクリニックこにし」を開院。3男1女の母。
胎芽から胎児へ
細胞分裂をはじめた受精卵は“胎芽”と呼ばれ、手足ができる妊娠9週目を過ぎると“胎児”と呼ばれます。
まだ脳の形成も未熟な胎芽でも、動いています。脳を形づくる頃には、シナプスと呼ばれる神経回路が、わずかに見られるようになります。
脳の要はシナプス
脳が形づくられて大きくなるのは、細胞が分裂して増えていくからです。増えて形をつくるだけでは、脳は働きません。脳の中でいくつもの神経細胞が固まりをつくって活動をはじめると、体全体が動きはじめます。その後、細胞と細胞をつなぐシナプスができると、複雑な運動がおこりはじめるのです。
シナプスは神経伝達物質(グルタミン酸、ドーパミン、アドレナリンなど)を介して情報をつなぎ、ネットワークをつくっていきます。このネットワークづくりが、今後の発達の要になるのです。
シナプスの活動は胎芽時代、胎児時代、誕生後、大人になるまで……いやいや死ぬまで続くのです。