仕事・産休・育休

妊娠・出産でキャリアチェンジも――働く女性の妊娠と子育て

 

働く妊婦さんの多くが「産後、仕事をどうするか」という問題に直面します。

女性は妊娠・出産を経ると仕事への考え方が、がらりと変わることが少なくありません。それを乗り越え「今の仕事を続ける」という選択をする人がいる一方で、「人生設計を考え直すよい機会」と捉え、まったく新しい仕事へとキャリアチェンジする人もいます。

 

 

妊娠・出産を機に未経験でWebデザイナーを目指すママたち

2019年2月、東京・渋谷のとあるビルの一室にたくさんの人が集まっていました。創立から25周年を迎えるデジタルハリウッドが、2012年に始めた新たな学びを提供するスクール「デジタルハリウッドSTUDIO」。そのSTUDIOの渋谷校で、これからクリエイターとして新たな一歩を踏み出そうとしているWebデザイナーの卵と、その人たちを採用したいと考える企業とのマッチングイベントが開かれていました。

 

02.jpg

 

 

参加者たちが提示する勤務条件は週2~3日、1日あたり4~6時間が多く、フルタイムを希望する人はほとんどいません。それにもかかわらず、この日、スカウトに訪れた企業は約50社。イベント終了時には参加者全員が企業からスカウトを受けたそうです。

 

じつはこのイベントの参加者であるWebデザイナーの卵たちには、共通した大きな特徴がありました。それは全員が「主婦やママ」であること、さらに全員、Webデザイナーとしての経験がゼロ、すなわち未経験であることです。彼女たちは結婚や妊娠・出産を機に仕事との向き合い方を考え直し、あらたなキャリアを選ぶ決意をしていました。

 

 

03.jpg

 

 

9割以上の妊婦さんが「産後も働き続けたい」

ニンプスが運営するリサーチセンター「ニンプスラボ」が実施したアンケートによると、妊娠前に仕事を持っていた妊婦さんのうち、9割以上の方が「産後も働き続けたい」と回答しています。

 

1-3.jpg

働く妊婦さんのうち、95%が産後も働き続けたいと回答

 

 

ただし、そのうち雇用形態の変更を希望している方は16%程度。キャリアチェンジを考えている妊婦さんは決して多くないようです。

 

1-4.jpg

 

そもそも妊娠の有無にかかわらず、新しいキャリアを踏み出すには勇気が必要です。職種によってはそれまで築いてきた仕事の経験が無になってしまうことも。ニンプスラボのアンケートでも「辞めればこれまでのキャリアがもったいない気がするため、転職も消極的に…」というコメントが寄せられていました。

 

またお金のリスクもあります。育児休業を取得していれば、2ヶ月に一度、育児休業給付金が給付されるほか、社会保険料(健康保険料と厚生年金保険料)の支払いも免除されます(日本年金機構や全国健康保険協会・健康保険組合への申し出が必要)。年金については免除された期間も将来、年金額の計算をする時に「保険料を納めたもの」としてカウントされるというメリットがあるため、妊娠・出産を理由に退職することをためらう人が多いのはうなずけます。

 

 

04.jpg

 

 

損得だけでは片付けられない、育児と仕事の両立

とはいえ産後の仕事との関わり方については、単純に損得だけで判断できないところもあります。前述のイベントに参加した主婦・ママWebデザイナーの方々からもこんなお話がありました。

 

「結婚を機に退職し、その後、経理事務所に2年ほど勤めたこともあったが、年末年始に休みがとれないなど子育てとの両立が難しく、退職せざるを得なかった」

 

「1人目を出産した時は育休をとって復職したが、2人目の時は夫の転勤の都合で海外へ行くことになり、退職した」

 

「育休取得~復職したが結局、部署を異動になるなどして仕事の内容が変わってしまった」

 

育休を経て復職したものの、さまざまな事情によりキャリアチェンジせざるを得なくなるケースが少なからずあり、育児と仕事の両立には一筋縄ではいかない難しさがあります。

 

 

転職前のキャリアも付加価値に

そんな中、昨今叫ばれている働き方改革の影響もあってか、妊娠・出産などによるキャリアチェンジや時短勤務を前向きに捉える企業も多いようです。

 

「企業の規模や状況によって異なるので一概には言えませんが現在、転職は売り手市場でどこも人材不足。中小企業ほど『いい人がとれない』状態にあります。そのため『短時間でもいいから優秀な人に来てほしい』という思いが強いようです。主婦やママについては、女性をターゲットにしたサービスの増加に伴い、実際にそれらを使うユーザー目線で携わってもらえるというメリットを感じている企業が多いのでは」女性の求人に強い人材開発会社・株式会社ビースタイルの柴田さんはそう話してくれました。

 

「最近増えているのは時短勤務の営業職、例えば不動産の営業など。新規獲得というより、既存顧客の担当や問い合わせへのリアクションがメインで、コミュニケーション力が問われるため、それに長けている女性が好まれる傾向にあるようです」

 

「また職歴についても、応募職種に対する経験の有無以外に、以前の仕事のキャリアも付加価値として評価してくれる企業が多いと感じます。実際に働く側の女性たちはブランクや経験の有無が気になるかもしれませんが、企業側はそれほど気にしていない場合もあります」(いずれも柴田さん談)

 

 

05.jpg

 

 

妊娠・出産を経てキャリアチェンジも

女性の育休取得率は増加傾向にあるものの、その後の復職率については30年前から現在まで、さほど変化はありません(※)。結婚、妊娠、出産は働く女性にとって依然として大きな転機といえます。

 

ただし、ここ数年で働き方の選択肢はぐっと広がってきました。テレワークが広がり在宅ワークへの理解が深まったり、子連れ出勤OKな会社ができたり、フリーランスで働く人が増えたり、小さな子どものいる人でも仕事をしやすい環境が整いつつあります。それに伴い、女性の就業を支援するNPO法人のサポートや、冒頭で紹介した主婦・ママ向けの専門クラスなどを利用して、未経験から新しい仕事に就く女性たちも続々登場しています。

 

働き方の選択肢が増えたいま、自分にとって理想の働き方とはどんなものなのか、妊娠中~産後にじっくり考えてみるのもよいのではないでしょうか。

 

 

(※)第15回出生動向基本調査 子どもの出生年別にみた、出産前後の妻の就業変化より

 

 

  山本 尚恵

赤ちゃんのようす

2ヶ月 3ヶ月 4ヶ月 5ヶ月 6ヶ月 7ヶ月 8ヶ月 9ヶ月 10ヶ月

カテゴリー

facebook twitter instaglam mail