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妊娠・出産基礎知識

【医師監修】風疹の予防策&妊娠中にかかったら

この記事を監修したのは

宗田聡先生

医師、医学博士/広尾レディース院長。

「AneCan」など様々な雑誌で女性の健康に関する記事を多数執筆。

 

風疹はウイルス性感染症の一種で、妊婦さん(とくに妊娠初期)がかかると胎児にも感染して先天異常(先天性風疹症候群)を生じるおそれがあり、注意が必要です。今回は風疹にかからないためにはどうするべきか、そしてもしもかかってしまった場合はどうすればよいのかについて解説します。

 

風疹の感染を防ぐには:妊婦さん以外の場合

風疹は体内に抗体(免疫)があれば基本的に感染しない病気です。風疹を含むワクチンを接種した際に抗体ができる割合は、1回接種で約95%、2回接種で約99%といわれています。風疹ワクチン(※1)を接種すれば、ほぼ確実に風疹にかかるのを防ぐことができます。

風疹を含むワクチンを接種したことがない、または風疹にかかったことがない人はすみやかにワクチンを接種し、感染の拡大を防ぎましょう(※2)。

 

なお、免疫の有無がわからない場合は抗体検査を行ってから接種するという方法もあります。しかし抗体検査を挟むことで通院回数が増え、手間もかかります。「時間がない」「面倒だ」といった場合は検査を省いてワクチン接種をしても問題ありません。

 

また、風疹を含むワクチンを接種できるのは、妊婦さん以外の人です。妊婦さんが風疹のワクチンを接種することはできません。妊婦さんができる風疹予防法は次の項を参照してください。

 

(※1)現在は麻疹(はしか)と一緒のMRワクチンとして接種されています。

(※2)妊娠前の女性がワクチンを接種した場合、接種後2カ月間は妊娠を避けたほうがよいとされています。

 

風疹の感染を防ぐには:妊婦さんの場合

風疹のワクチンは生ワクチンといって、毒性のないウイルスを使ったものです。毒性はないといってもウイルスが入っているわけですから、基本的には妊娠している女性への接種は避けるように、となっています。妊婦さんが風疹ワクチンを接種できないのはそのためです。

風疹の免疫がない妊婦さんが風疹にかからないようにするには、下記のような工夫をして、風疹ウイルスとの接触をできるだけ避けるしかないのです。

 

  • なるべく外に出ない
  • やむを得ず外に出る場合はマスクを着用する
  • 不特定多数が触れる場所に触ったら、必ず手を洗う、消毒する。
  • パートナーにはワクチン接種をしてもらう

 

妊娠20週を過ぎれば先天性風疹症候群のリスクは下がるといわれています。少なくともそこまでは注意してください。

なお、中には「妊娠していないと思って風疹ワクチンを接種したら、直後に妊娠が判明した」というケースもあるはずです。不安になるかもしれませんが、これまで同様の例で胎児への影響が出た報告はありません。安心してよいでしょう。

 

もしも妊婦さんが風疹にかかってしまったら

さて、どんなに予防しても妊娠中、風疹にかかってしまうこともあります。

もしも「風疹にかかってしまったかもしれない」と思うことがあれば、できるだけ早く病院を受診し、治療することをおすすめします。ただしその際、すぐにかかりつけの産婦人科に行くことは絶対にやめてください。もしも本当に風疹にかかっていた場合、ほかの妊婦さんに風疹をうつしてしまうことになりかねません。

 

病院に行く前に、まずは電話をして、「風疹にかかった可能性があること」「妊娠中であること」を伝えてください。そして病院の指示にしたがって受診をしてください。

 

万が一、妊婦さんが風疹にかかったとしても、全員の胎児が先天性風疹症候群になるわけではありません。落ち着いて、自分と周囲を風疹の影響から守るための行動を心がけましょう。

 

*  *  *

 

風疹はワクチンを正しく接種しておけば、ほぼ確実に防げる病気です。悲しい結果にならないよう、今できることをしっかりと行っていきましょう。

 

※内容を一部修正の上、あらためて公開いたしました(2018/11/26 10:00)

 


 

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