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【医師監修】妊婦さんが知っておきたい、先天性風疹症候群とは

この記事を監修したのは

宗田聡先生

医師、医学博士/広尾レディース院長。

「AneCan」など様々な雑誌で女性の健康に関する記事を多数執筆。

 

風疹(ふうしん)がここ数年、全国的に流行しています。

風疹はウイルス性感染症の一種で、妊婦さん(とくに妊娠初期)がかかり、さらに胎児にも感染してしまうと先天異常を生じるおそれがあり、注意が必要です。今回はまず風疹や先天性風疹症候群の概要、そして風疹流行の原因について解説します。

 

風疹とは

風疹はウイルス性感染症の一種です。風疹にかかったことのない人や風疹のワクチンを接種したことのない人など、風疹に免疫(抗体)がない人は感染のおそれがあります。感染経路は飛沫感染で、くしゃみやせきのほか、電車やバスのつり革、オフィスのコピー機やマウス、キーボードなどを触れることによっても感染します。

風疹ウイルスに感染すると、以下のような症状が現れることがあります。

  • 発熱
  • リンパ節腫脹
  • 発疹

これらの症状は必ず現れるわけではなく、自覚症状のない場合も少なくありません。実際、風疹ウイルス感染者の15~30%は無症状だといわれています。この「症状が出にくい」ところが風疹を流行させている原因のひとつであり、厄介な点です。

感染後、約2~3週間(平均16~18 日)は潜伏期間で、潜伏期間経過後は症状が出なくても他者に感染させるおそれがあるため注意が必要です。

 

先天性風疹症候群(CRS)とは

風疹は子どもよりも大人のほうが、症状が重くなる傾向はあるものの、基本的には命にかかわるほどの病気ではないとされています。しかし妊娠前~妊娠中の女性に関しては別です。とくに妊娠12週までの妊婦さんは「絶対にかからない」くらいの注意が必要です。なぜなら妊婦さんが風疹にかかると、胎盤を通じておなかの赤ちゃん(胎児)もウイルスに感染し、先天性風疹症候群(CRS)と呼ばれる先天異常を生じるおそれがあるからです。

 

先天性風疹症候群にかかった赤ちゃんには生まれて間もなく、以下の3つの症状が現れてきます(CRSの三大症状)。

  • 白内障
  • 心奇形(動脈管開存症など)
  • 難聴

 

3つの症状すべてが現れることもありますし、どれかひとつ、または2つだけ現れるケースもあり、症状の度合いもさまざまです。ときには症状の原因が先天性風疹症候群によるものだと気付かない場合もあるようです。

 

妊娠12週までの妊婦さんはとくに注意!

妊婦さんが風疹にかかったからといって、必ず胎児が先天性風疹症候群になるわけではありません。なるかどうかの確率や症状は妊娠週数に大きくかかわりがあります。

とくにリスクが高いといわれるのは「妊娠12週(妊娠4カ月目の第1週)頃まで」の時期。この時期は胎児の重要な臓器がつくられるため、先天性風疹症候群を発症しやすいといわれています。一般的に妊娠20週を過ぎれば、ほぼ先天性風疹症候群のリスクはないといわれますが、油断は禁物です。

 

「風疹とは」のところでお伝えしたように、風疹は感染していても症状が現れないこともあり、気付かないうちに感染し、胎児が先天性風疹症候群にかかってしまった…という症例もあります。妊婦さんはとにかく風疹ウイルスに接触しないよう注意しましょう(対策方法はこちらで紹介しています)。

 

妊婦さんのパートナーこそ風疹予防を

風疹はワクチンを接種して十分な抗体を持っていれば、基本的にはかかることのない病気です。それなのになぜ日本では流行しているのか、それは「ワクチンを打っていない世代がある」からです。

現在は乳幼児期の定期接種(※1)になっており、ほぼすべての子どもが風疹ワクチン(※2)を2回接種しています。2回接種すると約99%の確率で抗体ができるため、感染することはほとんどありません。

 

しかし過去には風疹ワクチンの接種が任意だった時代があり、その時代に子どもだった世代の人たちは「ワクチン不徹底世代」といわれ、風疹の抗体を持っていないことが多いです。

 

風疹ワクチン不徹底世代にあたるのは男女問わず、現在年齢が30代~50代の方です。

この世代の方は風疹の抗体を持っていない人が多いことから、結果的に風疹流行の原因になってしまっているといわれています。ちょうど妊婦さんやそのパートナーの世代と重なるため、この世代の人たちが風疹を含むワクチンを接種し、予防することが風疹の流行予防にはかかせません。

お住まいの自治体によってはワクチン費用の助成があり、無料で受けられることも少なくありません。「風疹の免疫があるかどうかわからない」という場合は抗体検査を受け、免疫が確認できなければワクチンを接種しましょう。。

 

(※1)予防接種法に定められている予防接種。費用は自治体負担のため無料で受けられます。

(※2)現在は麻疹(はしか)と一緒のMRワクチンとして接種されています。

 

*  *  *

 

もしも風疹にかかってしまったら、どうしたらよいのか? 妊娠中、周囲に風疹にかかった人がいた場合、どう予防すればよいのか? それらについてはこちらの記事でご紹介します。

 

※内容を一部修正の上、あらためて公開いたしました(2018/11/26 10:00)

 

 

 

〈風疹情報関連サイト〉

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