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妊娠・出産基礎知識

助産師さん監修:妊娠中の「会陰マッサージ」図解

この記事を監修したのは

堀内成子先生

助産師/聖路加国際大学大学院 看護学研究科 学部長

出産が近づくにつれて、心配になるのが「会陰切開」。とくに初めての出産のかたとって、会陰裂傷や会陰切開は怖いものです。そこで今回は、助産師であり、聖路加国際大学大学院看護学研究科学部長の堀内成子先生に、妊婦さんが安心の「会陰マッサージの正しい方法」を教えていただきました。

 

【目次】

 

会陰マッサージの概要:時期に注意!

  • 会陰マッサージを始める時期は、妊娠34週から
  • 用意するものは、植物性のピュアなオイル
    スウィートアーモンドオイル、オリーブオイル、香りの少ない白いごま油など、植物性で無添加のオイルを用意しましょう。
  • 会陰マッサージは、週2-3回、1回5-10分程度行いましょう

 

会陰マッサージの手順

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1:オイルを付けた指1-2本を膣に3-4cm挿入し、3時から9時の方向に圧をかける。

2:はじめは会陰の部分をなでることから。次は指を第一関節まで挿入して圧を感じる程度に…と徐々にチャレンジしましょう。

 

会陰マッサージのポイント

会陰マッサージのポイントは以下の通りです。

  • 姿勢はしゃがんで、またはイスなどに片足をかけて行うとやりやすい。
  • 手はこぶしを握って親指を立ててマッサージすると力を入れやすい。
  • オイルの量は指から滴らない程度、少しでOK。
  • お風呂上がりや入浴中に行うのがおすすめ。お風呂の中ではすべらないように十分注意しましょう。

 

会陰マッサージ、ここに注意

体調の悪い時や、医師や助産師から安静の指示があるときは、会陰マッサージを行わないでください。
37週の正産期になるまでは、お腹の張っているときは無理に行わずにお休みしましょう。

 

会陰マッサージQ&A

Q:膣に指を入れて会陰をマッサージすることで、早産の危険などはないのでしょうか。

A:

膣や会陰への刺激で陣痛が起きたり、出産が早まるということはありません。安心してリラックスして行いましょう。とはいえ、お腹が張っているときなどは心配になるのも当然です。体調に不安があるときは無理をせずにお休みしましょう。

 

Q:週2~3回といわず、毎日マッサージすればそれだけ効果がありますか?

A:

研究では、週1.5回もしくは週1.5~3.4回の会陰マッサージを行った場合とでは、縫合が必要な会陰裂傷が明らかに減少しましたが、週3.5回以上の会陰マッサージを行っても、会陰裂傷の明らかな現象は見られませんでした。 週3回程度で充分ですので、息切れしない程度で出産まで続けることが大切です。

 

Q:できれば会陰切開はしたくないけれど、ベビーの安全を思うと「絶対にしたくない」とも言いにくいです。お医者様に気持ちを上手に伝える方法はありますか。

A:

最近では、出産前にひとりひとりにバースプランを訊ねる病院も多いようです。そこに「会陰マッサージをがんばっています」と書いてみてはいかがでしょう。

 

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会陰マッサージの効果は?産後もラクに?

実は、出産の不安ナンバー1!? 会陰裂傷

会陰とは出産の際ベビーの頭が通るように大きく伸びる部分、肛門と膣の間の薄い皮膚とその下の筋肉のことを指します。 助産師さんによると、ベビーの頭が通る際に会陰が裂けてしまう「会陰裂傷」は、実は出産時に多くの女性が経験するそう。会陰の皮膚はとても回復力があり、小さな傷であれば本人も気づかないまま退院までに治ってしまうこともあるのだとか。

ただし縫合が必要なほど深い傷ができた場合には、出産後しばらく座るときやトイレのときなどに痛みを感じるほか、パートナーとのセックスに恐怖心を感じる女性も多いようです。

産院や出産の状況によっては、お産がスムーズになるように会陰を切る「会陰切開」を行う場合もありますが、切開した傷もやはり縫合が必要。多くの女性が無事にベビーを出産できたのだから…と耐えているものの、心身のダメージは決して少ないとは言えないのです。

 

「会陰マッサージ」で会陰裂傷のリスクは減る?

会陰裂傷を減らすために自分でできること、それが妊娠中の「会陰マッサージ」です。 聖路加産科クリニックで教えていただいたのは、Beckmanらが2006年に行った「会陰裂傷を防ぐための妊娠中からの会陰マッサージの効果」という研究。
合計2,497人の女性を対象に、妊娠中に会陰マッサージを行った女性と会陰マッサージを行わなかった女性を比較したところ、

会陰マッサージの有無で差があったこととして

  • 縫合が必要な会陰裂傷が少なかった
  • 会陰切開の実施が少なかった
  • 産後3ヶ月の会陰の痛みが少なかった

という結果が出たそう。これは、会陰裂傷そのものの数は減らないものの、その程度が軽くなったということです。

 

お産がラクになる、こんなメリットも!

妊娠すると会陰はぽってりと厚みをおび、出産のときにはゴムのように伸びて、タートルネックのセーターから頭を出すときのようにベビーの頭が出てくるのだそう。
そして、その際に重要なのは実は力を入れることではなく「力を抜く」こと。
会陰マッサージを通して自分の体に触れることで、出産の際にどこの力を抜くのかがイメージしやすくなります。

「ベビーが今ここにいる」とイメージすることができ、「ママがベビーに優しくなれるんです」と聖路加産科クリニックの助産師さんはいいます。

 

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