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妊娠中の食事

【管理栄養士監修】妊婦さんに「ビタミンD」は必要?含まれる食べ物は?

この記事を監修したのは

一般社団法人NS Labo(栄養サポート研究所)

管理栄養士

全国約1000名の管理栄養士をサービスパートナーとして、健康やヘルスケア事業に取り組む企業や法人の事業サポートやコンサルティング、管理栄養士の人材育成を行う。

【目次】

妊娠中の母体が積極的に摂りたい栄養素として、葉酸・鉄分・カルシウムなどが良く知られていますが、じつは最近、日本の妊婦さんや授乳期のママの「ビタミンDの不足」が問題となっています。

 

ビタミンDとは?妊婦さんに不足する理由

ビタミンDは、その名の通りビタミンのひとつです。

 

椎茸(しいたけ)などのきのこ類、鮭・いわしなどの魚類に多く含まれていますが、そのほかの食品にはあまり含まれていないため、普段の食事で十分な量を摂るのが難しい栄養素のひとつです。

 

さらに最近は、“魚離れ”と言われるほど、日本の食卓に魚が登場する量が減っています。水産庁のサイトによると若い世代ほど魚介類の摂取量が少ない傾向もあります*1。つまり、若い世代は特に、魚から摂取するビタミンDが従来よりも減っていると考えられます。

 

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ビタミンDは太陽(紫外線)を浴びることで身体で合成できる、別名「太陽のビタミン」とも呼ばれている栄養素です。しかし、近年の日本人女性は、1年を通じてUVケア(紫外線予防)をすることも多く、日光によって身体で合成されるビタミンDも不足しがち。

 

そのうえ、新型コロナウイルスの感染予防のための自粛生活や夏の猛暑もあり、近年はさらに外出時間が減っているため、太陽(紫外線)を浴びる時間がますます減少しています。

 

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【ビタミンDが不足する理由】

 

・普段の食事で摂りにくい

・日本人の魚介類摂取量が減っている

・UVケアにより、日光によって合成される量が不足しがち

・新型コロナウイルス、猛暑などで外出時間も減少気味

 

 

妊婦のビタミンD不足で、赤ちゃんに何が起こるの?

ビタミンDは、お腹の赤ちゃんの骨が正常に発育するために重要な栄養素。妊婦さんのビタミンD不足により、胎児の発育期(とくに骨の発育期)にカルシウムが骨に沈着できず、丈夫な骨組織が作られない「くる病」を発症する可能性があります。

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↑「くる病」とは、ビタミンDの不足による骨の軟化で、右のイラストのように脚の形が曲がったように変形したり(※左が正常な状態)、背中が曲がったりする病気です。

 

また、これまでよちよち歩きのころの自然なO脚(生理的O脚)と呼ばれていた状態も、じつは幼いころのビタミンD欠乏が原因だったことが、順天堂大学の調査で最近わかってきました*2

 

妊婦にビタミンDが欠乏すると、免疫力が低下!

人間の身体は妊婦さん以外でも、ビタミンDが不足することで、カルシウムを摂取しても身体に十分吸収されずに、結果としてカルシウム不足に陥ります。カルシウムの機能が低下した身体は、免疫力の低下、糖尿病、骨粗鬆症、骨軟化症、動脈硬化、筋力低下等を引き起こすおそれもあります。

 

新型コロナが重症化してしまう人に不足していた「ビタミンD」(Yahoo!ニュースより)

 

産後も母乳や粉ミルクから赤ちゃんがビタミンDを摂取します。ビタミンDは、赤ちゃんの骨などの発育にも欠かせません。母乳を中心に育児をしているママは、ビタミンDを意識した食事が必要です。

 

 

妊婦さんにもおすすめ!ビタミンDを多く含む食材

ビタミンDを多く含む食材は、椎茸(しいたけ)などのきのこやきくらげ、そして、鮭・いわし・さんま・しらす干しなどの魚です。

 

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しいたけは日に当てて!ビタミンDの上手な調理法

椎茸(しいたけ)には、紫外線に当たることによりビタミンDに変化する物質が含まれているため、生のしいたけより干ししいたけの方がビタミンDが多く含まれています。生しいたけの場合は、食べる前に日に当て、天日干ししてから使うのがおすすめです!

 

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なお、ビタミンDは「脂溶性ビタミン」です。脂溶性とはつまり、油と相性の良い栄養素。油と一緒に摂ると吸収率があがります。熱にも強いので、油で炒めたり揚げても大丈夫!

 

手軽にビタミンDが摂れる「しいたけふりかけ」レシピ →

 

妊婦さんに必要なビタミンDの量は?

妊婦さんや授乳ママのビタミンD目安量*3は、2020年4月に引き上げられ、1日あたり8.5μg(マイクログラム)になりました。大まかに言うと“鮭の切り身”なら1/3きれ程度、しらすなら大さじ2杯程度となります。きのこ・きくらげ・白身の魚を毎日少しずつ摂るのがベストです。とはいえ毎日は難しいかもしれません。

 

 

なお、ビタミンDは摂取の上限量目安もありますが、妊婦さんが普通の食事だけで摂りすぎとなることはまずありません。サプリメントで補う場合は、表示を確認するようにしましょう。

 

【ビタミンDの目安量】

成人女性、妊婦、授乳ママともに 8.5μg

※上限量は:100μg

 

 

妊娠中や産後の授乳期は、鉄分・カルシウム・葉酸に加えて、「ビタミンD」の摂取も心掛けましょう。妊娠中や産後は、さまざまな栄養素がとくに必要な時期です。ビタミンDだけにこだわらず、いろいろなものを食べることがとても重要です。できれば食事の内容のメモや写真を残して、自分が食べているものを毎日少しずつ意識するようにしましょう。

 

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*1水産物消費の状況(水産庁HPより)

*2順天堂大学HP ※Calcified Tissue International2020年2月号で発表

*3日本人の食事摂取基準2020年度版 2020年4月1日施行

(参考)2020年3月末までは、以下の数値でしたが、4月1日より引き上げられました。

成人女性の1日の目安量:5μg
妊婦さんの1日の目安量:7μg
授乳ママの1日の目安量:8μg

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