一般社団法人NS Labo(栄養サポート研究所)
管理栄養士
全国約1000名の管理栄養士をサービスパートナーとして、健康やヘルスケア事業に取り組む企業や法人の事業サポートやコンサルティング、管理栄養士の人材育成を行っている。
今、ビタミンD不足の赤ちゃんが増えています
母乳には赤ちゃんに必要な栄養分がたっぷりと含まれていますが、完全ではありません。生後間もない赤ちゃんに病院でビタミンKのシロップを与えるのは、母乳だけだとビタミンK不足になってしまうから。そして、あまり知られていないのですが、母乳はもともとビタミンDも不足しているのです。
第27回日本外来小児科学会では、母乳だけで育つ乳児の75%がビタミンD不足という発表(*)がありました。成長過程の乳幼児がビタミンD不足になると“くる病”にかかる可能性が上がります。ビタミンDの働きであるカルシウムを骨に沈着させることができなくなり、骨の変形・成長障害(背が伸びない)・頭蓋骨の形成不全などが起こる病気で、O脚の原因にもなります。
昔はよくある病気でしたが、栄養状態が良くなり、さらに育児用のミルクが普及したことで、くる病になる赤ちゃんは減っていました。ところが、最近また増えているというのです。
ビタミンDを補うには?
・ミルク、離乳食でビタミンDをとる
育児用のミルクにはビタミンDが入っています。また、ビタミンDが多く含まれるしらすや卵黄、鮭・さんま・カレイ・干し椎茸などを離乳食にとり入れましょう。
・日光浴でビタミンDが生成される
ビタミンDは日光を浴びることで体内でも生成されます。強い紫外線は肌に害ですが、適度な日光浴は健康のために必要。日差しの弱い朝や夕方にお散歩しましょう。特に最近は、新型コロナウイルスの感染予防のための自粛生活や、夏の猛暑により太陽にあたる機会が減っています。
・ サプリメントはOK?
乳児用のサプリメントでビタミンDを補うこともできます。
ただし過剰摂取には注意。とりすぎると、吐き気や嘔吐、食欲不振などの症状が出ることがあります。
母乳育児はママと赤ちゃんのコミュニュケーションでもあり、赤ちゃんの免疫力が高くなるなど、たくさんのいいところがあります。しかし、完全な栄養食ではありません。不足しがちなビタミンDをしっかり補って、栄養たっぷりに育ててあげたいですね。
* 2017年9月 第27回 日本外来小児科学会 順天堂大学の中野聡医師らの発表