この記事を監修したのは
諸隈誠一先生
医師、医学博士/九州大学大学院医学研究院 保健学部門 教授/日本赤ちゃん学会理事
1996年九州大学医学部医学科卒業。2018年4月、同大学大学院医学研究院保健学部門教授に就任。
一般社団法人NS Labo(栄養サポート研究所)
管理栄養士
全国約1000名の管理栄養士をサービスパートナーとして、健康やヘルスケア事業に取り組む企業や法人の事業サポートやコンサルティング、管理栄養士の人材育成を行う。
授乳中、お酒は避けましょう
ママが飲んだアルコールは母乳に移行するので、原則的には、授乳をしているママはアルコール摂取を控えたほうがよいとされています。
しかし、米国小児科学会では、「アルコールによる悪影響はあるが、アルコール摂取は母乳育児の禁忌にはならない」とされています。
これは、人によってはアルコールを我慢するくらいであれば母乳育児をやめる、母乳育児を続けたくないという人もいるからです。
そのような理由で、母乳育児を止めてしまうのであればアルコールを飲む量や時間を工夫しましょうという考えなのです。
・どの程度なら飲んでいい?
赤ちゃんが母乳を介してアルコールを摂取するのは、1日最大でママの体重1kgあたり0.5gまでなら、問題ないといわれています。
体重50kgの女性の場合、350mlの缶ビール1本、またはワイングラス1杯を週に1~2回飲む程度であれば、それほど心配はないでしょう。
今回は例をあげましたが、アルコールへの強さや飲める量などは個人差があるので注意してください。
母乳をあげるときは工夫を
1杯のアルコールを摂取した後、30~90分で母乳中のアルコール量が頂点に達します。2~3時間は、母乳を赤ちゃんにあげるのは避けましょう。
代わりにミルクをあげる、授乳の間隔が長くなる時間帯を選んでアルコールをとるようにするなどをして、調節しましょう。
また、ビールを飲むと母乳の出がよくなるという説もありますが、これはビールに含まれるホップの働きです。アルコール自体は、母乳量を減らしますので間違えがないよう注意してください。
忙しいママだからこそ、日々を楽しく過ごせる工夫は大切。もしもアルコールをずっと飲めないというストレスが大きいようであれば、時間や量に配慮してリフレッシュ程度にとりいれるのは、悪いことではありません。ご家族にも協力してもらえるといいですね。