一般社団法人NS Labo(栄養サポート研究所)
管理栄養士
全国約1000名の管理栄養士をサービスパートナーとして、健康やヘルスケア事業に取り組む企業や法人の事業サポートやコンサルティング、管理栄養士の人材育成を行っている。
ビタミンD不足でくる病や「O脚」のおそれも
“くる病”と言う病気をご存知でしょうか。これは、乳幼児期などにビタミンDが不足することで起こります。
ビタミンDにはカルシウムを骨に沈着させる働きがあるので、不足すると骨の変形・成長障害(背が伸びない)などの原因になるのです。
“くる病”になると、頭蓋骨の形成にも影響が出ます。さらに血中のカルシウム濃度が下がって、けいれんを起こしてしまうこともあります。
歩行をはじめる1歳頃に強いO脚から発見されることもあり、矯正器具をつける治療を行う場合もあります。
さらに、これまでは"よちよち歩き"の頃のO脚も生理的O脚と呼ばれ自然に治ると言われていましたが、じつはこれも幼少期ののビタミンD欠乏が原因だったことが、順天堂大学の調査で最近わかってきました*1。ビタミンDをきちんと摂ることで赤ちゃんのO脚予防にもつながるのです。
深刻な妊婦さんや授乳ママ・赤ちゃんのビタミンD不足
乳幼児のビタミンD不足が、現在、問題になってきています。ビタミンDは食品から摂るだけでなく日光を浴びると体内で生成される栄養素です。別名を「太陽のビタミン」とも呼ばれています。
ところが、最近は、新型コロナウイルス感染予防のための自粛生活や、夏の猛暑、そして紫外線の害を避けるためのUVケアなどで太陽を浴びる機会が激減。こうしたことも、赤ちゃんやママのビタミンD不足の大きな原因となっています。
完全母乳でビタミンDが不足する!?
意外なところでは、母乳がビタミンD不足の理由になるという点です。母乳育児には優れている点もたくさんありますが、粉ミルクには一定量のビタミンDが含まれていることと比べると、母乳のビタミンDはママの栄養状態により左右される部分もあるため、ビタミンDが不足することがあります。
厚生労働省「日本人の摂取基準(2020年)」報告書でも、「母乳栄養児でのビタミン D 不足は、国際的に課題となっている」と記されました。
第27回日本外来小児科学会では、母乳だけで育つ乳児の75%がビタミンD不足という発表*2も。
今回はこの不足しがちな栄養素“ビタミンD”を補える離乳食をご紹介したいと思います。
ビタミンDが補える離乳食メニュー
ビタミンDが多い食品には、卵黄・しらす・鮭・さんま・干し椎茸(しいたけ)などがあります。干し椎茸は食べる前にもう一度日光に当てるとビタミンDの量が増えますので、天日干しをおすすめします。生の椎茸にもビタミンDが含まれていますが、生しいたけもまた食べる前に天日干しするとビタミンD量がアップします。お試しください。
【離乳食のビタミンDメニューアイデア】
・ しらすご飯
→ ビタミンDたっぷりのしらすを細かく切って、おかゆやご飯に混ぜてあげましょう。
・ 卵とニラの卵焼き
→細かく刻んだニラを卵と混ぜて焼きます。ふわふわにしたいときは水切りをした豆腐を少し混ぜると食感が良くなります。卵にもビタミンDが含まれています。
※卵は赤ちゃんによってはアレルギーが出ることもあるので、はじめは卵黄をごく少量から与えましょう。卵黄よりも卵白にアレルギーが出やすいので、ようすを見て7・8ヶ月になってから全卵を使うようにしてください。
・ 干し椎茸と人参のスープ
→水で戻して柔らかくした干し椎茸を細かく切り、同じく細かくした人参と一緒に煮込みます。このとき干し椎茸を戻した水を使うと、旨味たっぷりのスープができます。他にも柔らかくなるジャガイモや豆腐を一緒に入れるのもおすすめです。
バランスのいい離乳食と適度な日光浴で、効率よくビタミンDをとり入れましょう。