この記事を監修したのは
二宮健司先生
歯科医/日本橋・二宮歯科医院院長
「身体の健康につながる歯科治療」をモットーに、患者さんに寄り添った治療を行っている。
わたしの歯が弱くなったのは、妊娠したから?
日本橋・二宮歯科医院院長の二宮先生によると、妊娠中は、女性ホルモンの分泌が増加するため、虫歯や歯周病菌の細菌が群がり、口の中の血管系、細胞、免疫力に影響を与え、歯のトラブルを引き起こしやすい環境になります。それによって普段より、歯周病や虫歯になりやすいのです。
また、つわりなどで、歯ブラシを口に入れにくい状況になると、ケアを怠りがちになってしまい、さらに歯の病気のリスクが増えてしまうのです。ちなみに、妊娠すると子どもにカルシウムがとられてしまって歯がぼろぼろになってしまうという話がありますが、これはただの迷信だそう。
治療はOK!? 知っておきたい妊娠中の歯の健康Q&A
Q:妊娠に気づかずに、歯科医でレントゲン治療を受けてしまいました。
A:あまり気にしないで大丈夫です。
今のレントゲンは、昔に比べて放射線の量も少なくなっているのであまり気にしないで大丈夫です。特に歯医者のレントゲンは被ばく量が低く、外を歩いているのとあまり変わらないレベルです。妊娠中のレントゲンは、胎児に問題ないとは言われていますが、わかっているなら安定期(妊娠20~30週)に入ってからのほうがよいでしょう。また、治療前には必ず妊娠していることを歯科医に伝えてください。
Q:妊娠中に薬を飲んでも大丈夫?
A:飲む前に必ずかかりつけ医に相談を
飲む前に、必ずかかりつけの医師に相談してください。
鎮痛剤には、妊娠中に飲めないものが比較的多いです。今は認証上大丈夫と言われている薬もいくつかありますが、医師としては、妊婦さんには「痛み止めは処方できない」と説明しています。基本的に処方はしてもらえないと思ってください。危機的状況でない限りは、なるべく飲まない方がよいでしょう。
妊娠していることに気がつかずに飲んでしまった程度は、そんなに気にすることはありません。
Q:そもそも、妊娠中に歯の治療はしていいの?
A:体調が落ち着いていればよいでしょう。
治療ができない時期というものはありませんが、つわりなど体調を考えると、安定期に入って落ち着いたころに受診をすることをおすすめします。歯科医の立場からすれば、レントゲンを撮って、歯の中の状態をきちんと見てから治療をするのが原則です。レントゲンも撮らず、状況を把握しないままに治療をすることはないでしょう。まだ安定期に入っていない時期に、緊急で治療しなくてはならないときには、必要最小限の応急処置にとどめておき、落ち着いた時期にきちんと治療する方がよいでしょう。
Q:歯の治療のときに注意することは?
A:母子手帳を持参して。
治療の前に、妊娠を告げてもらうのはもちろんですが、これに加えて、母子手帳を持ってくるようにしましょう。母子手帳を見れば、どんな薬を飲んでいるか、血圧や体調などもわかるので、歯科医側も対処法が見極めやすいものです。ぜひ持参しましょう。