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妊娠・出産基礎知識

【医師監修】妊娠中の味覚は、どう変わる?

この記事を監修したのは

杉浦むつみ先生

耳鼻咽喉科専門医

地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター非常勤医師、小石川東京病院非常勤医師。2児の母。「妊娠中研究にご協力いただいた方々への感謝をこめて、より多くの妊婦さんに情報提供ができればと思っています」

 

今まで好きだったものがキライになったり、同じものばかり食べたくなったり…妊娠中の味覚や嗜好の変化に戸惑いを感じている方も多いはず。

耳鼻咽喉科専門医の杉浦むつみ先生は、妊婦さん97名に妊娠中の嗜好や味覚の変化についてアンケート。
さらにそのうちの32名の協力を得て、妊娠前期・中期・後期と継続して味覚の変化について検査を実施されました。
妊婦さんの味覚の変化を経時的に調査した報告は少ないそう。その結果をご紹介します。

 

92.8%が妊娠前期に「嗜好の変化があった」

妊娠中に「何らかの嗜好の変化があった」と答えた妊婦さんは97名中90名(全体の92.8%)。

 

 

変化があったと回答した妊婦さん90名に、具体的に好むようになった味を調査したところ、

  • 酸味 59名(65.6%)
  • 塩味 41名(45.6%)
  • 甘味 5名(5.6%)
  • また濃い味を好む 31名(34.4%)

    という答えだったそう(※重複回答あり)。

また、嗜好の変化があった時期は90名中88名(97.8%)が妊娠前期と答えたそうです。

 

 

妊娠前期・中期・後期と味覚を検査

杉浦先生は、さらに32名の妊婦さんの協力を得て、妊娠前期・中期・後期と継続して味覚の検査を実施。その結果、妊娠前期を中心に妊婦さんの味覚は低下する傾向が認められました。中には健常な非妊娠女性ではみられないような異常値を示した妊婦さんが2割くらいいたそうです。
でも、その後つわりが落ち着き通常の食生活に戻る妊娠中期、後期になると、これらの味覚の低下は改善するそうです。

 

検査の結果、健常な非妊娠女性の味覚に比べて、明らかに味覚が低下した妊婦さんの数は…

 

・鼓索神経領域(舌の前の方)

  • 甘味 妊娠前期5名 (妊娠中期1名、妊娠後期0名)
  • 塩味 妊娠前期1名 (妊娠中期0名、妊娠後期0名)
  • 酸味 妊娠前期7名 (妊娠中期1名、妊娠後期2名)
  • 苦味 妊娠前期0名 (妊娠中期2名、妊娠後期0名)
     



・舌咽神経領域(舌の後の方)

  • 甘味 妊娠前期5名 (妊娠中期2名、妊娠後期0名)
  • 塩味 妊娠前期5名 (妊娠中期2名、妊娠後期0名)
  • 酸味 妊娠前期1名 (妊娠中期0名、妊娠後期1名)
  • 苦味 妊娠前期2名 (妊娠中期1名、妊娠後期0名)

 

 

味覚が変化した時期は 妊娠初期(妊娠15週まで)に多く、つわりの時期とも重なっていたそう。
妊娠前期になぜつわりや嗜好、味覚の変化が起きるのか、その原因はまだはっきりとは分かっていません。でも、検査の結果をみると妊娠前期には多くの妊婦さんが経験することで、妊娠中期から後期にかけて治まることが多いと分かります。今、辛い症状を感じている妊婦さんもやがて落ち着くので安心して、そして今はムリをせずに過ごしてくださいね。

 

参考:久我むつみ
論文「妊娠による味覚機能の変化に関する検討」
日耳鼻99:1208~1217,1996

 

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