この記事を監修したのは
竹内正人先生
医師(産科医)
地域、国、そして医療の枠を越えて、さまざまな取り組みを展開する行動派産科医。妊娠、出産などに関する著書多数。妊婦さんから絶大な支持を得ている。
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妊娠中から産後直後に女性の体に起こる変化について紹介します。お腹が大きく膨らむことはだれもが知る通りですが、肌・髪・バストなどにも、実は様々な変化が起こります。どんな変化がやってくるのか知っておけば、不安が軽減できるかもしれません。
乳首が黒ずむ!?バストの変化
妊娠~出産で大きく変化する部分のひとつがバスト。まず目立つのはサイズアップです。個人差もありますが、妊娠後期までにおよそ1~2カップ大きくなるといわれています。
これは妊娠中に分泌されるホルモンにより乳腺が発達するため。母乳作りの準備が始まっています。産後、授乳が完了すれば、元に戻っていくばかりか、少しサイズダウンすることも。エクササイズなどでバストアップしたいところ。
乳首にも変化が起こります。妊娠すると間もなく、乳首の色が濃くなる人が多いです。乳首の色は出産までどんどん濃くなり、出産間際はかなり黒っぽくなる。
これも妊娠によるホルモンの影響で、産後、徐々に薄くなります。乳首が黒ずむことに抵抗があるかもしれませんが、これには意味があると言われています。生まれて間もないベビーはまだ視力が弱く、ほとんど物が見えません。それでもおっぱいを探すために嗅覚や口の感覚も使って、なんとか乳首を見つけようとしています。このとき、黒っぽいほうが弱い視力でも見つけやすいというわけ。
お腹の真ん中に、線が…!
妊娠が進むと、お腹が大きくなるとともにおへそを中心にお腹の真ん中に上下に伸びる黒っぽい線が現れることも。これは一般に「正中線(せいちゅうせん)」と呼ばれています。これもまた、ホルモンの影響で体に色素沈着が起こりやすくなることで現れる現象です。先ほどの乳首の黒ずみも色素沈着のひとつです。
この線は、人間の体はそもそも背中のほうから体の前の縦のラインに向かって、包み込むように作られています。つまりこの線は、服でいえば「縫い目」の部分。普段は目立たないこのラインが、色素沈着で現れてきているのです。正中線は、産後に薄くなり、ほぼわからなくなります。
肌が敏感に&シミ対策もマスト!
生理前に肌荒れを起こすことがありますが、妊娠中もホルモンの影響から同じような肌状態になることがあります。さらに、つわりで食事が思うように摂れなくなることが原因で、栄養バランスの偏りによって肌荒れを起こすことも。
普段よりも肌が敏感になるケースもあり、たとえばいつもは問題なく着ていた下着がチクチクして感じたり、急に化粧水が合わなくなるといったこともあります。一時のことなので、あまり気にしすぎず、肌にやさしい物を使うようにしましょう。
また、妊娠中は紫外線の影響も受けやすく、ホルモンの影響で「肝斑(かんぱん)」も増えがち。妊娠中はいつもよりこまめな紫外線対策を!
増えたり・抜けたり…毛の悩み
妊娠中から産後の体の変化は、ホルモンの影響によるものが多いもの。このホルモンは、髪の毛や体毛にまで影響を与えます。たとえば、妊娠中にお腹の周りや陰毛、腕や脚の毛が濃くなる人がいらっしゃいますが、これもホルモンの働きによるものです。一時的に毛深くはなりますが、産後ホルモン状態が元に戻れば自然に落ち着くので大丈夫です。なお、妊娠中は頭皮も敏感になることがあるため、刺激の少ないヘアケア剤を選びましょう。
さらに、産後はホルモンが元に戻ることが原因で、髪の抜け毛が見られることもああります。場合によっては、かなりの量がガサッと抜けることもあるため、かなりインパクトがあるのですが、これも産後1年くらいの間には元に戻ります。目立ちにくいヘアスタイルで乗り切りましょう。
体の変化も楽しもう!
今回ご紹介したように、妊娠~産後は体の変化が大きい。さらにホルモンバランスの影響もあり、心も揺れがち。体や心の変化に戸惑うことも多いものですが、「妊娠中ならでは!」と、自分の変化をポジティブに受け止めてみてはいかがでしょう。