この記事を監修したのは
赤木かん子先生
児童文学評論家
1984年に、子どものころに読んでタイトルや作者名を忘れてしまった本を探し出す「本の探偵」として本の世界にデビュー。以来、子どもの本や文化の紹介、ミステリーの紹介・書評などで活躍している
寝るまえの30分が とっても大事
「夜寝るまえに本を読んでください」というのは、本当は本を読むためではないんです。
子どもはたいてい寝るのを嫌がりますよね? だって、小さい子どもにとって、寝ることは死ぬことと同じ。明日の朝、絶対に目が覚めるって保証はどこにもないでしょう? だから、寝ることはとてもこわいことなのです。
なので、せめて安らかに眠りにつけるように、寝るまえの30分はひっついていて、大丈夫だよ、と安心させてやりたい。でもたしかに、子どもが眠るころは親も忙しい時間です。まだ洗濯物もたたんでないし、お茶碗も洗ってない……。あせる気持ちもわかります。
でもお茶碗より洗濯物より、子どものほうが大事でしょ? それが永遠に続くわけじゃない。子どもが小さいときなんて、あっというまに過ぎてしまいます。
めんどうなことの 向こうには
せめて6歳までは、寝るまえには抱きしめて、頭をなでてやりたい。そのために、よし!本でも読もうか!を使うのです。
その本がおもしろかったら、もっと楽しい!
本を読むのはめんどくさいですよ。子どもの世話をするのも、ご飯作るのも、生きてることそのものがめんどくさい人にはめんどくさいでしょう。
でもなにもしない人には、めんどくさいはないかもしれないけど、光も喜びもない人生しかないと思いませんか?
ひっついてやると嬉しそうに笑う、本を読んでもらって瞳を輝かせる、その喜びは、めんどくささの向こうにあるのです。
本を読んでやるのはそれがいいことだからではなく、それが子どもを喜ばせ、幸福にするからなんですよ。