この記事を監修したのは
赤木かん子先生
児童文学評論家
1984年に、子どものころに読んでタイトルや作者名を忘れてしまった本を探し出す「本の探偵」として本の世界にデビュー。以来、子どもの本や文化の紹介、ミステリーの紹介・書評などで活躍している
【絵本Q&A】
何歳まで読んでやればいいですか?
本人が「もういいよ」
というまで、です
本を読むという行為は“演劇”のなかの1ジャンルです。文章を音読するときに、多少なりとも演出しないわけにはいきません。つまり、読み手の「これはこういうお話なんだな」という解釈が入ってきます。そうしてそれを“耳を使って”聞くわけです。
ラジオの朗読やアニメの声優さんたちの演技も演劇でしょう? でも、朗読は何才までしかだめだ、とか落語は小さい人の聞くものだ、とかいいませんよね?
いま私たちが“本を読む”というときには、耳を使わない“黙読”のことを意味しますね。
この2つは、バレエと音楽くらい、そもそもジャンルが違うものなのです。そうして、耳から聞くのが好きな人と、音のない世界で文章を楽しむのが好きな人がいるのです。それは単に好みです。
ですから目で読む、音のない世界が好きな人は、自分で読めるようになったらもういい、というでしょう。でも演劇の好きな人は、耳で聞きたいと思うのです。だからといって25歳になってもまだ読んで~、という人はいないでしょう。読んで~、といわれるのは本当に何年かだけです。どうぞ、本ではなく、その子と幸福にいられる時間を楽しんでください。