この記事を監修したのは
加藤美穂子先生
JPIC(財)出版文化産業振興財団読書アドバイザー
絵本の楽しみや読み聞かせの大切さを伝える。
あらすじ…このこ、たまごねえちゃんといいます。ほんとうはもう、たまごからでていないといけないんです。でも、たまごねえちゃんはずっと、たまごのままでいました。やさしいお父さんと、甘えてばかりのちょっぴりわがままなたまごねえちゃん。そんな親子の心あたたまるストーリー。(Amazonより)
女の子とのかかわり方が見えてくる 貴重な絵本
パパと女の子がテーマの本は、探してみると意外と少ないので、この本は貴重です。
男の子の成長をユーモラスに描いた『たまごにいちゃん』がシリーズでたくさん出ていますが、こちらはその女の子バージョン。
『たまごねえちゃん』はパパが自分を愛してくれていると自覚したうえで、なんだかんだとパパを振り回します。でも、いざパパが窮地に陥った時には助けようとがんばる余力があるのです。
単純でわかりやすく、自分のことでいっぱいいっぱいの男の子とは、ちょっと違うようですね。
アニメ慣れしている子たちがすんなり受け入れてくれそうな、ベタな色彩と単純化された絵です。バックには空間を埋めるパターン化された草、木、山、雲があるだけ。その分、登場人物とその表情に気付きやすくなるかもしれません。
女の子とのかかわり方や、女の子ってこんな感じなのかなど、読んであげているうちに見えてくるものがありますよ。
絵本を仲立ちに、女の子とパパが楽しく過ごす時間を作りだしてくれる読み聞かせのひと時。その満ち足りた思い出は決して消えることなく、親子の絆づくりに大いに貢献してくれることでしょう。
『たまごねえちゃん』もシリーズ化されていますので、併せてお楽しみください。
『たまごねえちゃん』
あきやまただし すずき出版刊 2005年9月