この記事を監修したのは
赤木かん子先生
児童文学評論家
1984年に、子どものころに読んでタイトルや作者名を忘れてしまった本を探し出す「本の探偵」として本の世界にデビュー。以来、子どもの本や文化の紹介、ミステリーの紹介・書評などで活躍している
読み聞かせ、うまくいかないのはなぜ?
「赤ちゃんにどうやって絵本を読めばいいの?」
そう質問するママは少なくありません。
なぜ、そういう質問が来るのでしょう?
それは普通に読もうとすると、うまくいかないことが多いから…ですね?
では、なぜうまくいかないのか?というと、それは「相手が赤ちゃんだから」なのです。
大人はもう本の読み方を知っています。
初めから始めて終わりでやめ、という読み方を……。
でも、赤ちゃんは、まだそんなにたくさんのページが連動していない。
1冊の絵本の初めから終わりまでつなげることはまだできないのです。
ですから赤ちゃん絵本というのは、右のページと左のページはつながっています。
たとえば、かたっぽにスプーンの絵が描いてあって、反対側に「スプーン」と文字が書いてあったり、文字ではなくてフォークが描いてあったりするでしょう?
その右と左くらいはつながってるわけですね。
でも、次のページとは連動してませんね?
赤ちゃん本というのは、そういう意味では見開きごとに独立した、図鑑のようなもので、中味はバラバラなのです。
そういう本はどこから読んでもいいし、最後まで読まなくてもいい。おしまいから読んだってかまいません。
なかに1枚、その赤ちゃんが好きなページがあったらそこだけ見ててもかまわない。極端な話、表紙が気に入れば本を開けなくてもかまわないのです。
「本は最初のページから読まないと」なんて思っているから、赤ちゃんにイライラされて本を奪われたり、怒られて、ママは「え~、どうすればいいの!」となるのです。
コツは「赤ちゃんの言う通り」
だったらどうすればいいのかというと……?
「赤ちゃんの言う通り読む」……これです!
本を指されたら「はいはい、これが見たいの?」ときき、本を取り出してやり、赤ちゃんが見たいところを開けてやればいい。
何せ赤ちゃんはまだページをめくる力がないので、こっちをあごでこき使うわけですよ(笑)。
そうやって「めくれ」といわれたらめくり、「前のページにもどせ」といわれたらもどし、「これはなに?」ときかれれば、「スプーンだね~」といってください。
「ほら、〇〇ちゃんも持ってるでしょ~、スプーン……」などといって、本を手がかりにおしゃべりすればいいのです。
赤ちゃんに本を読んでやる極意は、
「赤ちゃんの言う通りに読むこと」なんです。