この記事を監修したのは
加藤美穂子先生
JPIC(財)出版文化産業振興財団読書アドバイザー
絵本の楽しみや読み聞かせの大切さを伝える。
《あらすじ》
ちっちゃなおさかなちゃんがママをさがしています。ひろーいひろーいうみのなか、おさなかちゃんは、つぎつぎにおともだちとであって…
世界中で翻訳されているおさかな絵本
作者のヒド・ファン・ヘネヒテンはベルギーの人気絵本作家。このおさかなちゃんは、イギリスやフランスをはじめ、世界10ヶ国以上で翻訳されている人気のシリーズで、順番に読んで世界を広げていく楽しさがあります。
くっきりはっきりの目を引くビジュアルは、少し長い文章に耳慣れさせるのにも有効でしょう。
おさかなちゃんが海の底でママを探し回っていると、カラフルなカニやヒトデたちに出会います。カニはブクブク、ヒトデはツンツンなど、オノマトペっぽい名前で親しみが持てます。しかも、生き物とオノマトペが同じ色合いで、絵と言葉がうまく直結するよう考えられているところは注目です。
発見あり、ほっこりあり。
まずは絵をじっくり見せてから、オノマトペ(音の言葉)を聞かせ、「ママ~」の呼びかけにお返事してあげる。この見開きごとのくりかえしが、自然と想像する楽しさを育みます。
カニの赤、ヒトデの橙、巻貝の黄、カメの緑、クジラの青タコの紫。おさかなちゃんが出会った生き物の色は、そのままママの背中の模様だったのですね。そんな色の発見も楽しいおさかなちゃんの本です。
最後に登場するママの大きさとハッピーな色合いは、おさかなちゃんの気持ちそのものでしょう。