この記事を監修したのは
加藤美穂子先生
JPIC(財)出版文化産業振興財団読書アドバイザー
絵本の楽しみや読み聞かせの大切さを伝える。
《あらすじ》
木から落ちてまいごになったフクロウぼうや。おかあさんをみつけられるかな。
フクロウぼうやが無条件にかわいい!
ちょっとめずらしいアイルランドの絵本です。木からうっかり落ちてまいごになったフクロウぼうやに、きつねと森の動物たちが、ママを探してあげるお話です。
クリス・ホートンさんは、アイルランドで活躍するイラストレーター兼デザイナーだそうです。スタイリッシュなデザインと、落ち着きのある色彩に、センスの良さが光ります。大人好みの雰囲気なのに、かわいらしさを感じるのは、動物たちのくったくのないきょとーんとしたまんまるお目々のせいでしょうか。
翻訳したのは、詩人の木坂涼さん。文章の語り口がなめらかで、言葉にむだなく、気持ちよく、トントンとお話が進みます。声に出して読むと、言葉の響きやリズムが、とても心地よく感じられます。会話のなかの、きつねは「おいら」「かあちゃん」、ふくろうぼうやは「ぼく」「ママ」から、しっかりキャラが見えかくれしていますね。木坂さんの翻訳した別の本も見てみたくなります。
フクロウぼうやを探すママのシルエットが見つかるよ
文章がシンプルなぶん、絵が物語っているシーンが多いのもこの絵本の特徴です。文字には書かれていませんが、迷子のぼうやを必死に探し続けるママの姿が、あちこちにシルエットで見つかります。
こういう発見も、絵本を開く大きな楽しみの一つです。子どもが絵から思わぬ発見をしたら、大いにほめてあげましょうね。