この記事を監修したのは
加藤美穂子先生
JPIC(財)出版文化産業振興財団読書アドバイザー
絵本の楽しみや読み聞かせの大切さを伝える。
《あらすじ》
小さなくるまの、あかくんとあおくんが、おでかけの途中で、いろいろなくるまに出会う。それだけのようでそれだけじゃないのです。
くるま好きの子は注目ポイントがいっぱい
じつは、この絵本には、くるま好きな子を夢中にさせる要素がたくさん詰まっています。絵は、線や色使いも洗練されていて、どこかおとなっぽい雰囲気です。背景も道路も白なのは、くるまが目立つようにとの配慮でしょう。
あかくんの気持ちで書かれた短いことばから、まずは、あかくんの行動に注目がいきます。それから、救急車やクレーン車などの、現場でのはたらきを見たり、パン屋の車を追いかけたり人物の表情はありませんが、なんの仕事をしているかは、しっかり描かれています。ゴミ袋を持って、出勤するのはパパでしょうか? その姿を追い、そこから見えてくるストーリーも、見つけ出します。
子どもそれぞれ気づきがあって それがまた楽しい
子どもは、耳でお話を聞きながら、目をしっかり働かせ、絵のすみずみまで楽しんでいます。ページをめくるまでの待っている時間、大人はついイライラしてしまうかもしれませんが、子どもにつき合っているうち、何気なく見ていたくるまの車種が、「!」と特定できたりして、思わずニンマリしてしまうこともあるのです。
親子それぞれの発見や気づきから、思いがけない会話が生まれ、それがそのまま、親子の豊かな時間になっていくことでしょう。