この記事を監修したのは
加藤美穂子先生
JPIC(財)出版文化産業振興財団読書アドバイザー
絵本の楽しみや読み聞かせの大切さを伝える。
《あらすじ》
あるところにパンやのくまさんが住んでいました。パンを売る店とくるまを1台もっていました。くまさんは毎日どんなふうに過ごすのでしょう。
パンやのくまさんの暮らし ちょっとのぞいてみると…
テディベアのくまさんが、人間の世界で、せきたんや、うえきや、ゆうびんや、ぼくじょうなどの、お仕事をするシリーズの中の1冊。ぬいぐるみのかわいらしい主人公にふさわしい愛らしい小型の絵本です。
見開きで、絵と文が分かれているので、子どもには、お話が理解しやすいと思います。
シリーズを通し、ストーリー展開には、共通部分があります。朝早く起きて、一生懸命働き、あいさつをきちんとし、人には親切にし、はたらいたお金の勘定はその日のうちに済ませ、夜8時にはベッドに入るという、一本芯の通った暮らしぶりです。お金をいただいて働くことの意味も、しっかり描いてあります。
くまさんの日常の世界に引き込まれ
日々は、ポーカーフェイスのくまさんのように、おだやかで、平和です。不安や事件は一切ありません。室内は、趣味のいいインテリアですっきりとまとめられ、清潔感も感じられます。
きちんとした生活ぶりが、じつに気持ちいいです。その安定感が子どもを惹きつけるのでしょう。
作者のウォージントンさんは、40年近くにわたって、このくまさんシリーズを書き続けました。ロングセラーの秘密も、ここにあるのかもしれません。
子どもは、この絵本から、日々を堅実に生きることの心地よさを、心に焼き付けると思います。