この記事を監修したのは
加藤美穂子先生
JPIC(財)出版文化産業振興財団読書アドバイザー
絵本の楽しみや読み聞かせの大切さを伝える。
《あらすじ》
うさぎのこがいうことばはただひとつ。いつでもどこでもうんちっち。それがあるとき…。
「うんちっち」にはちゃんと理由があるんです
反抗期の子どもの気持ちを見事に描いて大人気の、フランスのロングセラー絵本です。
うさぎの子シモンは、おとうさん、おかあさん、おねえさんが自分を子ども扱いにして、「ぼうや、ちびすけ、ちびくん」など、ちゃんと名前で読んでくれないことが不満です。
そこで、家族に対して展開した、せいいっぱいのパフォーマンスは、何をいわれても、「うんちっち!」としか答えないことだったのです。何と強烈な一言でしょう。
それなのに、この家族は、命の危険にさらされるまで、シモンの気持ちに、気付こうとしませんでした。
読み方の工夫で楽しさ倍増!
見開きが、文字と絵のページに分かれているので、見やすいですね。太い輪郭線、メリハリのきいた鮮やかな色彩と、パンチのきいたお話で、保育園や幼稚園では圧倒的人気です。
本文中の、大中小の活字を意識して読むだけで、このお話を効果的に演出できます。1回読んであげると、子どもたちは、してやったり!と、「うんちっち!」といいまくるでしょう。
大人は、困ったふりをしながら、「あと半年、あと半年、これは通過点」と、心の中で唱えていましょうか。
プロフィールを見ると、いたずらっ子シモンは、作者の子どものころのあこがれの姿だったようです。子どもに困った現象面が見えたとき、子どもの言葉と行動の裏にある必死の気持ちに、くれぐれも気付いてあげましょうね。