この記事を監修したのは
加藤美穂子先生
JPIC(財)出版文化産業振興財団読書アドバイザー
絵本の楽しみや読み聞かせの大切さを伝える。
《あらすじ》
眠れないうさぎさん。お部屋の中のものに一つ一つ“おやすみ”をいっていくのですが…。
なかなか眠れないときは おやすみのごあいさつ
うさぎのぼうやが、ベッドに入り、眠りにつくまでの1時間を、ていねいに描いたおやすみなさいの絵本です。
なかなか寝付けないで、もぞもぞしていたからでしょう。傍らで見守っているおばあさんが、「しずかにおし」とひとこと。それをきっかけに、ぼうやが、「おやすみおへや」「おやすみおつきさま」と、目に入るもの一つ一つに、おやすみをいっていきます。まるで、自分に催眠術をかけていくように。
子どもたちは、このシーンが大好きです。そして、すぐにまねをして、何かにおやすみをいうのに夢中になります。本の世界を、自分の中に取り込む、ほほえましい瞬間です。
気づけるかな? 絵に隠されたたくさんの仕掛け!
画家は、目立たない絵の中に、移りゆくときをていねいに描きました。動き回るねずみ、時計の針、次第に絞られていく部屋の照明、窓を過ぎる月と星。
それだけではありません。絵に仕掛けられた謎解きも、あちこちに仕掛けられています。世界は、目立たないもの、静かなものの中にこそ、いろいろな発見が隠されていると、ほのめかしているようです。
アメリカの絵本の基礎を作ったマーガレット・ワイズ・ブラウンは、他にも、『おやすみなさいのほん』(福音館書店刊)『あかいひかりみどりのひかり』(童話館出版刊)など、おだやかな眠りにつくための本を、何冊か出しています。