長い間、“妊娠報告は、安定期に入ってから”という考え方が定着していました。
確かに、妊娠の継続が不安定な時期の報告には、躊躇してしまいますよね。
けれど、不安定な妊娠初期だからこそ、無理せずに過ごしたいもの。
つわりで体調が崩れやすいのもこの時期です。
今回は、実際に「妊娠報告」を経験された先輩ニンプス2名のお話を伺いました。
早めの「妊娠報告」で、通勤時間ゼロ?
Yさんの場合
40歳/お子さん:6歳&1歳 どちらも女の子
33歳の時に妊娠。社員100名程度の外資系開発会社にて、マーケティング・コミュニケーション部長として勤務。
“はたらくことが普通”という感覚で、社内でも重要なポジションでお仕事をされてきたYさん。もちろん、妊娠が判明したあとも、復職を前提にお仕事を続けるという選択をされました。
そんなYさんの「妊娠報告」、さらに復帰後のホンネは?
Q.上司、スタッフにはいつ頃報告されましたか?
体調がすぐれず、仕事にも影響がでてきた妊娠3ヶ月頃に、報告しました。上司はまず、「おめでとう!」と声を掛けてくださり、その後今後について話し合いました。
仕事を続ける意思があることを伝えたうえで、体調が不安定な時期に限っての「自宅勤務」が可能かどうか、相談しました。会社の制度外ではありましたが、幸い「自宅勤務」は受け入れられ、その後1ヶ月程度は体調をみつつ、仕事をすることができました。
上司に報告後、1週間以内に、同じ部内の主要スタッフにも報告し、自宅勤務中も連絡がとり合える体制を整えました。
Q.妊婦と仕事の両立、大変だったことは?
つわりで体調がすぐれない時期は自宅勤務ができたので、通勤のつらさからは回避できました。けれど、家にいると休憩時間などの区切りがないので、逆に頑張ってしまうことも…。
また、安定期に入り通常の業務へと戻った頃、まだYさんの妊娠を知らない社長と、炎天下の中外回りをした時は、さすがにきつかったですね。
Q.ずばり。復帰してよかった?
はい。復帰後しばらくは慌しかったですが、仕事をしている方が、心も、体も、健康な気がします。現在は時短で働いていますが、会社のなかで時短制度(※)を取っている人はとても少ないんです。だからこそ、人事マネージャーがとても張り切ってくれていて(笑)業務内容の割り振りなど、気を遣ってくださっているので助かっています。
※通常勤務時間から、週20~40時間の範囲(通常40時間)を短縮できる制度。
【編集部のヒトコト】
Yさんの場合、会社側や上司の理解を得て、通常の制度にはない「自宅勤務」が認められました。これは稀なケースかもしれませんが、普段の仕事に対する前向きな姿勢が評価された結果ではないでしょうか。また、自宅勤務中の連絡体制を整えるなど、業務を滞らせないための配慮もきちんとされています。
体調がすぐれないときには、無理をするのではなく、自分の体調と今置かれている状況を把握することが大切です。その上で例えば、出社時間をずらしたい、勤務時間を短縮したいなどの希望があれば、迷わず上司に報告・相談することが、自分にとっても会社にとってもいいかもしれませんね。
早めの「妊娠報告」で、通勤時間ゼロ?
Aさんの場合
1歳/お子さん:2歳 男の子
28歳の時に妊娠。社員30名程度の広告制作会社にて、制作スタッフとして勤務。残業もあり。
広告制作会社で、編集からマーケティングまでこなすAさん。
社会に出て大勢の人と接するのが好き、もちろんマネーも重要!というポジティブな意識から、お仕事を続けることに迷いはなかったそう。
とはいえ、妊娠・産休取得を経験するのはAさんで2人目!と前例が少ない会社での「妊娠報告」、どのような心がまえでされたのでしょう?
Q.ダイレクトにお伺いします。会社は「妊娠・出産・育児」に関して寛容?
女性スタッフが中心の会社で、それを強みにしているので、妊娠や出産、育児に関して「理解を得にくい」という印象はありませんでした。けれども前例が少なく、既婚者は私だけでしたので、妊娠する前から「出産しても必要とされる人間」でありたいという意識をもち、行動していました。
Q.実際の「妊娠報告」と、その後の反応は?
まずは、社内で唯一出産経験のある上司に相談をし、軽く社長の耳にも入れておいていただけるよう、お願いをしておきました。私の場合はつわりも軽く、体調も安定していたので、4ヶ月に入ってから、あらためて社長に報告を。
妊娠は初めてのことなので、今後どのように変化していくのか未知数であること、体調によっては休暇や遅刻・早退なども有り得るけれど、できるかぎり迷惑をかけないよう努める、ということをお伝えしました。
事前に、上司が伝えてくださっていたこともあり、すぐに「おめでとう!」と言ってくださいました。そして、一人で案件を抱えるのではなく、チームで動く案件へと担当を変えて下さるなどの対応をしてくださいました。
「妊娠報告」後、気をつけたことは?
これは私の体調が良かったからもありますが、「遅刻や早退をしない」などの最低限のマナーを守りました。「妊娠したから○○はできません。」という状況にならないよう、体調管理にも気をつけました。とはいえ、初めての妊娠で、お腹が張っているのかどうかすらよくわからない部分はありましたが…。
また、お腹が目立つようになってきた頃、ちょうど定期の更新があったので、始発から乗車できる経路へと変更してもらい、座って通勤できるようにしました。お腹が大きくても、席を譲ってもらえるわけではないんですよ。こんな日本が、ちょっと心配です(笑)
【編集部のヒトコト】
比較的つわりが軽かったおかげで、会社を休まないばかりか、毎日残業までしながら妊娠ライフを過ごしたというAさん!けれど、たとえ体調がすぐれず、会社を休みがちだったとしても、きっと気持ちよく産休を取れていたのでは?と想像します。
そこには、日頃から「出産しても必要とされる人間」でありたいという、前向きで誠実な気持ちがあったからこそ。普段から信頼できる人間関係を育んでいれば、妊娠・出産などの場面でも喜んでバックアップしてくれそうですね。
どうしてもつらいときは、周囲に助けてもらうのも、ひとつの信頼関係のかたちです。ばりばり働くのは安定期に入るまでおあずけ!と気持ちを整理し、お腹のベビーにとって居心地のよい環境をつくってあげるのも、大切ですね。