この記事を監修したのは
豊浦麻記子先生
医師/小児科医/兵庫県立リハビリテーション中央病院子どもの睡眠と発達医療センター勤務
大阪府出身、神戸市在住、2児の母。2014年4月より「兵庫県立リハビリテーション中央病院子どもの睡眠と発達医療センター」に勤務。睡眠障害による不登校の子どもたちの治療および社会復帰を支援するほか、眠れない乳幼児の治療と家族のサポートにも力を注ぐ
赤ちゃんにとって睡眠が重要な理由を、睡眠のプロフェッショナルでもある小児科医の豊浦麻記子先生に伺いました。
赤ちゃんの発達に必要な2つのこと
赤ちゃんには将来にわたって、健康で幸せに過ごしてほしいと、おそらく多くのパパやママが願っているのではないでしょうか。
じつは赤ちゃんの心身の健康に大切な好奇心や集中力、自主性といった力は、ママやパパが赤ちゃんの暮らしを上手にサポートすることで、伸ばしていくことができるのです。
赤ちゃんの発達には、2つのことが重要だと分かっています。それは、「感覚・運動の経験」と「良い睡眠」。これらによって、認知機能はぐんと発達し、赤ちゃんの自主性や好奇心といった社会性を育むことへとつながっていきます。
赤ちゃんの発達に大切な「感覚・運動の経験」とは?
「感覚・運動の経験」とは、砂場で砂を触るような五感をつかった遊びや、木に登ってゆらゆらしたり、ジャンプしたりするダイナミックな動き、全身運動だけでなく布をたたむ、料理のお手伝いをするといった手先を使うことなどで、これらをバランスよく経験することが重要です。
赤ちゃんの世界は下の図のように順を追って広がっていきます。いろいろな経験によって、あらゆる感覚がバランスよくインプットされていないと、「初期感覚」の次の「表象化」にうまくつながらない原因にもなります。
最近はスマートフォンの影響もあり、視覚情報の入力に偏りが生じ、発達のバランスを崩す赤ちゃんも増えているのだとか。
しかし、経験だけでよいかというと、そうではありません。さらにもう1つ欠かせないのが、じつは「よい睡眠」なのです。
「よい睡眠」はなぜ必要?
私たち人間は、学習すると、神経回路が増えていくのですが、ごちゃごちゃに混線した神経回路が眠っているあいだに整理整頓され、学習や記憶が固定するといわれています。
つまり、さまざまな経験と睡眠がセットとなり、知覚の世界は広がり、次にイメージや言葉、さらには文字や数へと赤ちゃんの世界は広がっていくのです。
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