ライターという仕事柄、締め切りとのせめぎ合いは日常茶飯事だったし、寝ないで過ごす夜なんていくらでもあった。
ゴールが見当たらなかったとしても走りつづけることに恐怖を覚えたことはなかったし、加齢による体力の衰えは感じても、自分が持たないなんて不安になったことはこれまで一度もなかった。
できないことがあったなら、それは自分の力不足で、知恵や努力が足りないからだと意地でもどうにかやってきた。
けど、自分の努力だけではどうしようもなくて、意地を張ったところでどうにもならないことがあるということを、わたしは出産そして育児から学んだ。
間違いなく出産は、生まれて最大級とも言えるものすごい出来事だったけど、産んだからってすごいわけではないし、偉いわけでもない。
産んだ瞬間、オートマティックに母親になれるわけなんかなくて、たぶん出産したかどうかよりも、たとえば仮にそれが自分の子どもではなかったとしても、ひとつの命を命がけで育てていく過程こそがものすごい出来事なんだと思う。
わたしはまだその入口に立ったばかりだけど、そしてその未知の領域に正直まだ慄いてもいるが、世の中のお母さんたちにつづきたいと思う。
長かったようで気が付けば過ぎていた1ヶ月。出産とは、育児とは、こんなにもひとを、人生を変えてしまうものなのか。
泣いても笑っても振り返ればすべてが愛おしい思い出よと、義姉が言っていたけれど、まさにその通りだと思う。
まだその真っ只中にして、早くも過ぎた日々を愛おしく思いながら。
★『BABY365のある日々』は毎月第一木曜日更新です。
■この日のBABY365
■赤ちゃんとの日々は毎日がたからもの
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Profile 【著者】堀川 静
フリーランスライター。「Hanako」や「BRUTUS」などの雑誌を中心に広報誌や地方自治体のブックレット、WEBマガジンやコーポレートサイトなど、幅広いジャンルの媒体で執筆。2018年9月に第一子となる女の子を出産。現在、育児と仕事の両立を模索中。