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妊娠・出産基礎知識

助産師が教える、妊娠中の体重管理と増加・やせすぎのリスク

この記事を監修したのは

浅井貴子先生

助産師/マタニティアロマセラピスト

大学病院、未熟児センター勤務を経て、現在は母親学級、育児相談、新生児訪問などを行う。妊婦さん向けのプレママ★アロマ教室を長年開講し産前、産後のアロマケアに定評。助産師のメディカル知識を活かした妊婦水泳&マタニティアクアビクスの専門家でもある。

 

妊娠の時期により、できる体重コントロール法も異なります。
この記事では、妊婦さんのための時期別の体重管理のコツを、助産師の浅井貴子先生に伺いました。

 

【目次】

 

妊娠中の体重増加は、なんのため?

まずは、必ず増加するお腹の赤ちゃんの重さですが、赤ちゃんの体重は臨月で約3kg、胎盤は約400~500g、羊水をいれると、合計で約5kgになります。

プラス、実は妊婦さんの体には他にも変化が起きてきています。お腹の赤ちゃんにも血液を送るため、循環血液量が非妊娠時より 3~4割増加します。母乳の栄養を蓄えるために皮下脂肪がつき、乳腺も発達します。
そのため、臨月には少なくとも7~8kg、体重が増加します。

 

・赤ちゃんの体重 約3kg
・胎盤 約0.4~0.5kg
・羊水 0.5kg前後
・血液・皮下脂肪など 
-------------------------
 → 合計約7~8kg

 

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何kgまでOK!?妊娠中の体重増加量をチェック

妊娠中の体重増加の目安となる推奨体重増加量は、妊娠前の体重を元に考えます。


 BMI=妊娠前の体重(kg)/身長(m)²  

 

計算してみましょう。あなたの妊娠前の身長と体重を入力して【計算】ボタンを押してください。

身長= cm 体重= kg

 

 


18.5未満 【 低体重 】    
→ 9~12kg増 推奨


18.5以上-25.0未満【 ふつう 】※
→ 7~12kg増 推奨


25.0以上【 肥満 】         
→ 個別相談

 

※体格区分が「ふつう」の場合でBMIが「低体重(やせ)」に近い場合には推奨体重増加量の上限側に近い範囲を、「肥満」に近い場合には推奨体重増加量の下限側に低い範囲を推奨することが望ましい。
(厚生労働省「妊娠前の体型を考慮した望ましい体重増」より)

 

妊娠中の適度な体重増加は、ベビーを育むエネルギーに!


臨月には少なくとも7~8kg体重が増加するのに対し、推奨体重増加量の上限は12kg。この差に、実は大切な意味があります。

 

 

「4kgは、ラクダのこぶだと思って」と浅井さんはおっしゃいます。
妊娠・出産・育児は体力勝負。何時間、時には数日もかかる出産を乗り切るためにも、生まれたベビーを昼も夜もなくお世話するためにも、エネルギーを蓄えているのだと考えましょう。
適度に体重が増加したママのほうが、母乳も良く出るのだとか。

 

 

【妊娠初期】つわりが辛い時期。無理はせずに

つわりで食べられないという人は体重管理のことはいったん忘れて、食べたい物を食べられる時に食べてください。つわりで体重が減ってしまった場合も、適正体重増加量は妊娠前の体重を元に計算します。

お腹が減ると体調がわるくなる「食べつわり」の場合は、食べる物に注意を!クッキー、ケーキ、チョコレートなどのような、脂肪と炭水化物の組み合わさった食べ物は太りやすいのでNG。ケーキよりお団子、洋菓子より和菓子を選ぶようにしましょう。


こんにゃくゼリーや干し芋、レモンの蜂蜜漬けや野菜スティックもおすすめです。果物はのどごしが良くつわりの時でも食べやすいですが、糖分が多いので食べ過ぎに注意しましょう。なお、安定期までは運動は控えます。

 


先輩ママに聞きました!

食べづわりに悩まされました。とにかくお腹がすいてすいて・・・。家までがまんできず、会社帰りにマックへ駆け込んでハンバーガーを食べたことも。産後8ヶ月で体重は戻ったものの、ウエストのサイズは増えたまま。妊娠初期にもっと体重を抑えておけば…と思うことも。
(モモさん/臨月までに12kg増)

 

【妊娠中期】体調が良ければ、適度な運動で体重管理を

つわりがおさまって、食事がおいしく感じられる時期です。この時期は食べ過ぎに注意しましょう。
産休に入る前に、とお仕事を頑張りすぎていませんか?浅井先生によると、最近、妊娠性の糖尿病が増加しているそうです。はたらく妊婦さんが増えストレスが多い生活をしていること、ストレスから甘い物を摂りすぎていることが大きな原因なのだそう。気持ちをリラックスさせるよう心がけてみてください。

体重のコントロールには運動も大切。14週をすぎていて体調も良ければ、かかりつけの医師や助産師の先生に相談のうえ運動をスタートしましょう。

 

先輩ママに聞きました!

歩くと安産になると聞いたので、仕事帰りに毎日家まで4駅、1時間半くらいを歩いていました。家でもTVを見ながらスクワットをしたり、ステッパーを踏んだりしてました。途中でお腹が張ってしまい「私、何やってるんだろう」と反省したこともありましたが、体重は8kg増ですみました。
(mamiさん/臨月までに8kg増)

29wまでは毎月2kgづつ体重が増え、8ヶ月で12kg増に!検診のたびに怒られ、母子手帳に赤字で「体重増加注意!!」と書かれました。しかし、その後出産までの2ヶ月はたったの+1kg。というのも、30wあたりから「大好きな食べ物」が氷だったんです。常に氷をガリガリ食べ、氷がないと生きていけないくらいの状態でした。「最期にぐーんて太るよ」と言われていたのですが、そんなことはなくひと安心でした。
(hiro☆さん/臨月までに13kg増)

 

【妊娠後期】ぐっと太りやすい時期。できるだけ動こう

産休に入ったり、里帰りしての上げ膳据え膳生活で活動量が減って、ぐっと体重が増えやすい時期です。産後はなかなか外出できないからと、外食も増えがちに。ベビーを連れて行きにくい焼き肉やラーメンも捨てがたいですが、できれば出産前のスペシャルディナーも懐石料理など和食を選んで。

家にいると、お腹が減っていなくてもつい冷蔵庫をのぞいてみたりと食べ物を口にしがち。体調が良ければ、できるだけ家の外に出て運動をしましょう。
臨月に運動なんてしていいの?と思うかもしれませんが、臨月にそれまでより運動量を増やすと、産後の体重の戻りがいいという最新の学説もあるそうです。運動量については、医師に相談をしましょう。

先輩ママに聞きました!
出産予定日が2月で、年末には実家に里帰りしました。冬は雪が降るので散歩もできず、どんどん体重が増えて最終的には12kg増!でも完全母乳だったので産後はどんどんやせて、6ヶ月後には-2kgに!!まさにベビーに栄養を吸い取られている感じでした。
(しおりさん/臨月までに12kg増)

 

偏った体重管理もNG?太りすぎ、やせすぎにはこんなリスクが!?

太りすぎのリスク

妊娠中に12kg以上太ってしまうと、母体にも赤ちゃんにもトラブルが起きる確率が高くなります。

  • 微弱陣痛になりやすい
  • 出血が多くなりやすい
  • 帝王切開の傷が治りにくい
  • 無痛分娩の時など、麻酔が効きにくい
  • 妊娠性の糖尿病になりやすい
    (ベビーが巨大児になり、難産になる確率が高まります)
  • 妊娠高血圧症候群になりやすい

このようなトラブルを避けるためにも、妊娠中の体重増加は10~12kgに抑えられるよう、体重管理が必要になります。

 

やせすぎもNG!

「最近、3kgを超えて生まれる赤ちゃんは本当に少なくなりました。3kgまでお腹で赤ちゃんを育てるだけの体力があるママが少なくなったということだと感じています。」と浅井さん。
今、やせすぎの妊婦さんが増え、それに伴って低体重で生まれるベビーが増えていることが問題になっています。お腹のベビーのためにも、妊娠中のダイエットはNGです。

 

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浅井先生によると、妊娠中の体重増加の目安は月に1kg。もし、ひと月に2~3kgも太ってしまったら?

「体重管理の基本は妊娠前と同じ食事と運動です。ただし、妊娠中は太りすぎてしまったからといって、食事を抜いたり極端に量を減らしたりしてダイエットすることは考えないで。食事はベビーの大切な栄養でもあるのです。
ひと月に3kg太ってしまったら、間食を控え、適度な運動をして、3ヶ月体重をキープしたいですね。」(浅井先生)

 

妊娠中の体重管理ノウハウ ‐食事編‐

お腹のベビーの分まで食べたほうがいいって本当?

妊娠するとよく耳にする「お腹のベビーの分も食べて」 という言葉。本当のところはどうなのでしょうか?
実は、厚生労働省による「妊産婦のための食生活指針」によると、妊娠初期に必要なエネルギー量は妊娠前のプラス50kcalでOKです。

 

食事はバランス良く、きちんと食べることが大切

ただし、現代人の通常の食事は脂肪が多く、野菜が不足しがち。はたらいている妊婦さんはどうしても忙しいので、朝は菓子パンとコーヒーだけということもあるでしょう。でも、それだとカロリーは摂れても栄養不足になってしまいます。

「お腹のベビーの分も食べて」は、カロリーではなく栄養のことと考えて、ごはんを中心にした和食のメニューを心がけ、できれば副菜をひとつ増やすなどして栄養のバランスを心がけるとベストです。

 

妊娠中の体重管理ノウハウ ‐運動編‐

妊娠中の運動は、どの程度まで大丈夫?

妊婦なのに運動してもいいの?どれくらいまで運動していいの?と疑問に思う妊婦さんも多いと思います。

妊娠中の運動は、体調が安定する14週から始められます。
ダンベルやスクワットなどの筋力トレーニングと、ウォーキングや階段昇降、マタニティスイミング、マタニティビクスなどの有酸素運動を組み合わせるのが効果的。医師に相談のうえ、体調のいい時を選んでスタートしましょう。

 

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実は、妊婦の推奨運動レベルは「ややきつい」!

実は、妊婦さんに推奨されている運動のレベルは、「ややきつい」。自分にとって楽だなと感じられる運動レベルより、少しきついと感じる程度、汗ばむ程度の運動が効果的とされているのだそうです。

医師の許可や診断書の提出が必要で、助産師などの有資格者がいるスポーツ施設であれば、安心して運動ができます。
そして運動は、出産まで続けてOK。浅井先生によると、臨月に9ヶ月までより運動量を増やすと、産後の体重の落ちが早いという最新の学説があるそう。
体重管理のカギは「適度な運動」にあるようです。

 

【赤ちゃんを迎える準備記事】

 

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