この記事を監修したのは

諸隈誠一先生
医師、医学博士/九州大学大学院医学研究院 保健学部門 教授/日本赤ちゃん学会理事
1996年九州大学医学部医学科卒業。2018年4月、同大学大学院医学研究院保健学部門教授に就任。
一般社団法人NS Labo(栄養サポート研究所)
管理栄養士
全国約1000名の管理栄養士をサービスパートナーとして、健康やヘルスケア事業に取り組む企業や法人の事業サポートやコンサルティング、管理栄養士の人材育成を行う。
Q:妊婦には大切な栄養、葉酸。サプリメントで補ってもいい?
妊婦に良いといわれている葉酸。
食事だけでは足りない気がするので、サプリメントで補ってもいいですか?
A:できるだけバランスの良い食生活をこころがけ、必要であれば医師に相談を。
妊婦さんの一日の葉酸摂取量は、「日本人の食事摂取基準2020年版」では、妊娠期には480μg・授乳期が340μg推奨されています。
葉酸は、ホウレンソウやアスパラ、モロヘイヤなど野菜のほか、枝豆や大豆などの豆、海苔やわかめなどの海藻に多く含まれています。これらの植物性食品の他に、牛・豚・鶏のレバーや、ホタテ、生ウニ、牡蠣などにも豊富に含まれています。
【葉酸を多く含む食品】〈※2〉
枝豆(80g)=256μg
ホウレンソウ(2株60g)=126μg
アスパラガス(3本)=114μg
ブロッコリー(2房)=105μg
サラダ菜(2枚40g)=28μg
納豆(中1パック50g)=60μg
甘栗(大3個)=44μg
焼き海苔(1袋5枚入り)=38μg
きな粉(大さじ1杯7g)=18μg
いちご(中5粒)=68μg
20-30歳代の日本人女性は、1日平均250-260μg程度の葉酸しか摂れていません。特に妊娠さんの場合はバランスのとれた食生活をしつつ、上記の食品を積極的に摂るように心がけてください。
とはいえ、仕事をもち、外食が中心の妊婦さんの中には、野菜不足などへの心配からサプリメントの利用を考える人もいるかもしれません。特定の栄養素が高濃度に含まれるサプリメントは、手軽ですが、摂取に対して未知の部分も多いのも事実。サプリメントの利用に自信がないときは、かかりつけの医師あるいは、管理栄養士・助産師さんに相談してみましょう。
葉酸の「摂りすぎ」は良くない?
厚生労働省が推奨する、サプリメントから摂取する葉酸の上限値※1は1日1,000μg。大量に摂取した場合、発熱やじんましん、紅斑、かゆみ、呼吸障害、中枢神経系への副作用等を起こす可能性があります。また、ビタミンB12欠乏症の診断を困難にしたり、亜鉛の吸収を抑制する場合もあります。
通常の食事で上限量を超える可能性は低いので、神経質になる必要はありません。
ただし、サプリメント等を継続的、習慣的に利用する場合は、摂取量に注意したほうがよいでしょう。
特定の食品や栄養素の過剰摂取は、おすすめできません。いろいろな食品をバランスよく食べるようこころがけたいですね。
〈※1〉日本人の食事摂取基準(2020年版)(厚生労働省)
〈※2〉日本食品標準成分表2015年版(七訂)(文部科学省)
妊娠中に意識して摂りたい食材・栄養素