この記事を監修したのは
諸隈誠一先生
医師、医学博士／九州大学大学院医学研究院 保健学部門 教授／日本赤ちゃん学会理事
1996年九州大学医学部医学科卒業。2006年4月より九州大学病院助教、2010年6月より同大学病院産科婦人科特任准教授、2011年1月より同大学環境発達医学研究センター特任准教授、2018年4月同大学大学院医学研究院保健学部門教授。
【目次】
バスト全体や乳首に痛み・違和感【症状】
乳首（乳頭）がヒリヒリと痛い、あるいはかゆい。バスト全体が張るような感じなどの胸部や乳首の痛み・違和感。個人差はあるものの、胸の変化も妊娠初期に起こりやすい症状のひとつです。
妊娠初期に胸が張るのはなぜ【原因】
原因１：ホルモンの影響で生理前と同じ状態に
乳首が痛い・胸が張る原因は、妊娠初期症状にありがちなホルモンの働き。生理前に分泌される「黄体ホルモン（プロゲステロン）」が、妊娠初期にもたくさん分泌されるので、生理前の胸の症状でもよくみられる、乳首の痛みや胸の張りが感じられます。
これは徐々に落ち着いてくることが多いのですが、バストは産後の授乳にそなえて、乳腺（母乳を作るところ）や乳管（母乳の通り道）の組織もだんだん発達していくので、胸が大きくなっていく妊娠中期や後期に似たような症状が起きる場合もあります。
原因２：ホルモンの影響で、肌も敏感に
また妊娠中は、乳首に限らず肌が敏感になり、たとえば脇や胸の下など、身体のあちこちにかゆみや違和感を感じることもあります。ホルモンの影響により起こる「妊娠性掻痒疹（そうようしん）」という症状かもしれません。 確かな原因は未だ解明されていませんが、いずれも妊娠時の生理的な症状であり、強い不快感がなければ心配はいらないでしょう。
胸の張りや乳首の痛み、今できる対処法は？【対策】
しめつけの少ない下着やマタニティ用ブラジャーや、ワンサイズ上のブラジャーを着けるなどして、肌への刺激を少なくしましょう。下着の素材も肌に心地よく感じるものを選んでください。綿（コットン）素材の下着は、肌に違和感を感じにくい人が多いようです。
乳首の痛みが強い、かゆみがひどい、皮膚に赤みや発疹がある、皮がむけてきた、などつらい時や心配な場合は、主治医に相談しましょう。
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