便秘は、腸の蠕動(ぜんどう)運動機能の低下
妊娠をきっかけに、それまでは快便だった人でも便秘になってしまうことがあります。もともと便秘気味の人は、もっとひどくなってしまうことも。これは、妊娠中に分泌される「黄体ホルモン(プロゲステロン)」の働きが、原因のひとつです。
「黄体ホルモン(プロゲステロン)」は、子宮内膜を厚くして受精しやすい状態を作り、さらに妊娠の維持を助ける、妊娠には欠かせないホルモンです。子宮に対しては、筋肉の収縮を抑えます。つまり胎児が育ちやすいように、子宮をゆるませ守ってくれる働きをします。しかし、このホルモンが腸の筋肉の動きも抑制してしまうため、便秘が起こりやすくなるのです。
また妊娠中期以降になると、大きくなった子宮が腸を圧迫し、これも妊婦さんならではの便秘の原因となります。
初期の便秘、どうすればスッキリ?
妊娠初期は、つわりで食生活が偏りがちな時期ですが、なるべく食物繊維の多く含まれる食材を意識して摂りましょう。りんごやドライプルーンなどのフルーツ類や、酢昆布、寒天などであれば、比較的口にしやすいかもしれません。水分を多く取ることも大切です。水、白湯、お茶などをこまめにとることを心がけて。※体を冷やさないよう、冷たいものを大量に飲むのはさけた方がよいでしょう。
生活面で心がけたいのは、排便のタイミングを逃さないこと。毎朝、コップ1杯の水を飲んで、トイレに行くようにしましょう。体調がよければ、医師に相談のうえ軽めのウォーキングやマタニティヨガ、ストレッチなど、適度な運動をするのも有効です。
食事、生活に気をつけていても改善しない場合には、必ず主治医に相談を。妊娠中でも服用できる薬があります。
※市販の便秘薬の中には、アロエなど妊娠中には禁忌とされる成分が含まれるものがあります。自己判断での使用は、ご注意ください。
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【監修】村上麻里先生
新潟大学卒業。新潟大学医学部付属病院、市立甲府病院、刈羽郡総合病院、県立がんセンター新潟病院など関連病院勤務を経て、結婚後は東京都内の産婦人科病院で勤務。妊婦が主体となるお産と、お母さんが楽になれる母乳育児を支援。
産婦人科専門医。母乳110番顧問。三姉妹の母。